こんにちは、チラグラファー・愛好家の【wanchan(わんちゃん)】です。
ティランジア(エアプランツ)にまつわる専門用語やスラングなどをまとめました。
「ここに来れば、分からない言葉が全部載ってる!」そんな用語集にしていきたいと思います。
※2024年4月27日編纂開始〜随時更新中です。追加のリクエストや間違いのご指摘があればインスタのDMからお願いします。
あ行の用語
アルビノ種 / アルバ
アルビノ種とは、色素欠乏で白い花を咲かす品種を指し、種名にアルビノ(Albino)やアルバ(Alba)、ホワイトフラワー(White Flower)などが付く場合が多いです。
アルビノ種の例:Tillandsia ionantha ‘Albino’、Tillandsia aeranthos var.alba、Tillandsia ionantha ‘Peach White Flower‘
※植物全般で言う所のアルビノは、葉緑素を持たない突然変異個体を指す事もありますが、ティランジアの場合はそのような個体は「斑入り」と呼ばれます。
曙斑
曙斑(あけぼのふ)とは、斑入りの一種で、成長点から新しい葉が出る際に白や黄色のうぶ斑として現れ、生長にともなって緑色に変化する性質を示す斑を言います。
他の斑入りと違い、「曙」は斑の模様ではなく、斑入りの状態が時間とともに変化する様子を表しており、夜明けの色の変化に例えられています。
これは、遺伝子的な変異で葉緑体の発達が葉の伸長に追いつかないために発生する斑で、小さいうちに株分けされた個体だと成長速度が遅いため、緑化が追いついてしまい斑が一時的に消えてしまう場合があります。
亜属
亜属(あぞく)とは、ティランジア属の下位に位置する分類で、2024年4月現在以下の7亜属に分けられています。
- ティランジア亜属 Tillandsia
- アノプロフィツム亜属 Anoplophytum
- フィタルリザ亜属 Phytarriza
- ディアフォランテマ亜属 Diaphoranthema
- プセウドフリーセア亜属 Pseudovriesea
- アエロビア亜属 Aerobia
- ヴィリダンサ亜属 Viridantha
2016年以降、遺伝子解析により大幅な再分類が行われ統廃合が行われました。今後も種の分類変更や、亜属の新設・統合が行われる可能性があります。
▼亜属についてより詳しくはこちら
亜属間交配
亜属間交配(あぞくかんこうはい)とは、亜属の違うティランジア同士を交配させる事を指します。
ティランジアは基本的に同亜属内でないと交配が難しいとされていますが、亜属間交配種は多数存在します。属をまたいだ属間交配の例も少数あります。
一回結実性
一回結実性(いっかいけつじつせい)とは、一株から一生に一回しか花を咲かせない性質を指します。ティランジアは全てこれに該当します。
育種
育種(いくしゅ)とは、選抜や交配によって遺伝的性質に人為的な改良を加え、より優れた品種を作り出す事を言います。これを行う人の事を育種家と呼びます。
ヴィヴィパラフォーム(ヴィヴィパラ種)
ヴィヴィパラフォーム(vivipara form)とは、開花後に株元からではなく、花茎から子株を出して殖える形態を指します。趣味家の間では茎が伸びている様を「ヴィヴィパラってる」と表現する事があります。
ヴィヴィパラ種のティランジアの例:フレクスオーサ・ヴィヴィパラ、インターメディア、ムロルム、ソムニアンス…etc
エアータイプ
エアータイプとはブロメリア全般の生態的分類において、根ではなく葉から水分を吸収するタイプを指します。一般的なティランジアのほとんどがこのエアータイプに分類されます。
エアプランツ(エアープランツ)
エアプランツとは、ティランジアを総称したニックネームで、土を必要としないその生態から名付けられています。
販売店などでは正式名称である「ティランジア」より親しみ易い呼び名として「エアプランツ」が使用される事が多く、海外でもAirplantsで通じます。
エアプランツ巨大化計画
エアプランツ巨大化計画(きょだいかけいかく)とは、熱帯植物栽培家の杉山拓己氏が【NHK 趣味の園芸】にて提唱しているティランジアの栽培方法です。水耕栽培により、ティランジアを短期間で大きく育てる事を目的としています。
▼詳しくはこちら
エビ反り
エビ反り(えびぞり)とは、ティランジアが上に向かって反り上がった様子を指します。
ティランジアは光に向かって伸びていく【光屈性(こうくっせい)】と、重力に対して上に伸びる【重力屈性(じゅうりょくくっせい)】呼ばれる性質を利用して葉姿コントロールする事ができます。
イオナンタなどの有茎種ではない品種でも横〜下向きに仕立てておけば、上に向かって反り上がった躍動的な葉姿に生育させる事が出来ます。
▼エビ反りのやり方はこちら
オフセット
オフセット(offset)とは、株分けによって増えた個体を指します。
か行の用語
会長
会長(かいちょう)とは、日本ブロメリア協会の会長の滝沢弘之氏を指します。
会長株
会長株(かいちょうかぶ)とは、日本ブロメリア協会会長の滝沢氏が販売する株を指します。株の由来がはっきりとしている点や、選抜を重ねた優良品質であるという点から信頼度が非常に高く、それが付加価値となっています。
カウレッセントフォーム
カウレッセントフォーム(caulescent form)とは、茎が伸びる形態を指します。ラテン語で「有茎の」という意味になります。
例: Tillandsia bergeri ‘Caulescent Form’、Tillandsia tectorum `Caulescent Form`
カクタススケルトン
カクタススケルトン(cactus skeleton)とは、柱サボテンの枯死後、維管束のみとなった状態のもの。ティランジアの着生材として用いられます。
花序
花序(かじょ)とは、ティランジアの開花時に本体から伸びる機関全体を指します。スパイクとも呼ばれます。花を包む葉は、花包(プラクト)と呼びます。
また、花序が上がる事を、『花芽が出る』と言う事もあります。
花序を上げずに開花する種もあります。
▼花についてより詳しくはこちら
他家受粉
株分け
株分け(かぶわけ)とは、親株から子株を外す行為、または株分けされた株を指します。
▼詳しくはこちら
花弁
花弁(かべん)とは、花びらを指します。ティランジアの花は、花弁が筒状の『筒状花』と、3枚が開く『三弁花』の2種類に分かれます。
潅水
潅水(かんすい)とは、園芸的には、ジョウロやホースなどで植物に水を注ぐ事を指します。水やり。
基本種
基本種(きほんしゅ)とは、基本となる種を指します。
例としては、Tillandsia ionantha(イオナンタ)は基本種で、Tillandsia ionantha var. stricta(イオナンタ・ストリクタ)は変種、Tillandsia ionantha ‘Rubra'(イオナンタ・ルブラ)は栽培品種です。
兄弟株
兄弟株(きょうだいかぶ)とは、同じ親株の種子から生まれた株(グレックス)を指します。ただ、同じ親から出た子株(クローン)同士を指してこの言葉が使用される事もあるため注意が必要です。
銀葉種
銀葉種(ぎんようしゅ)とは、ティランジアの生態的分類で、発達したトリコームを持つシルバーの葉を持つ品種の総称です。銀葉系とも。トリコームの少ない緑葉種と区別されます。
屈曲
屈曲(くっきょく)とは、株が曲がる言葉を指します。
ティランジアは光に向かって伸びていく【光屈性(こうくっせい)】と、重力に対して上に伸びる【重力屈性(じゅうりょくくっせい)】呼ばれる性質を利用して葉姿を曲げてコントロールする事ができます。
特に有茎種は向きを変えながら栽培する事でS字にしたり、渦を巻くような葉姿にもする事ができます。また、有茎種でなくとも横向きに仕立てる事で海老反りさせる事ができます。
▼曲げ方はこちら
グラス
グラスとは、親株の成熟前から不定期的に出てくる子株を指します。貧弱な実生苗に近い状態なので成長はかなり遅いです。また親株の体力を吸ってしまうため、親株を大きくしたい場合は間引く必要があります。不定芽(ふていが)とも呼ばれます。
グラスを吹くティランジアの例:エーレルシアナ、ドゥランゲンシス、タイ…etc
グラス系
グラス系とは、細い葉が密集して葉が立ち上がるイネ科植物のような見た目のティランジアを指します。
グラス系ティランジアの例:ジュンセア、ジュンシフォリア、ジムラータ、ハンメリー、エイステテリ…etc
グレックス
グレックス(Grex)とは、同じ親から実生で生まれてきた兄弟株の事を指します。クローン(子株)と違い、それぞれに異なる遺伝子を持ち、個体差があります。
クレステッド
クレステッド(Crested)とは、株の生長点に傷が入ったり突然変異が生じる事で、葉や茎が帯状に生長して外見的な変形が見られる現象の事を言います。クレスタータ/クリスタータと呼ばれる事もあります。ちなみにcris(クリス)とは鶏のトサカを意味しています。
綴化(てっか)とも呼ばれます。
成長点があちこちから出る石化(いしか・せっか)/モンストローサ とは厳密には違いますがまとめて綴化(クレステッド)と一括りにして呼ばれる事もあります。
クランプ
クランプとは、群生株の事を指します。英語の「clump(小さなものの集まり)」が語源です。クランプになると指数関数的に増殖していきますが早熟開花してしまう場合もあります。
クローン
クローンとは、子株の事を指します。品種名の後ろに『クローン』や『タイプクローン』『オリジナルフォーム』などと記載して、ある株の株分け(同一遺伝子株)である事を強調するのに使われる場合もあります。
原種
原種(げんしゅ)とは、品種改良以前の、もとの品種・在来種の事を言います。対して、交配によって生まれた品種は交配種と呼ばれます。
交配/交配種
交配(こうはい)とは、異なる個体を受粉させ掛け合わせる事で、それにより生まれた品種を交配種(ハイブリッド)と呼びます。
ティランジアの交配は、一般家庭でも容易に行う事ができます。
ティランジア・カーリースリムのように、【交配名が付けられ品種登録されている交配種】もあれば、【交配名が付けられているが品種品種登録されていない交配種】、そもそも【名前が付けられていない交配種】も存在します。これらはまとめて「栽培(園芸)品種」になります。
名無しの場合、Tillandsia ○○○×●●●と表記され、前半にめしべ側となる母親(種子親)、後半におしべ側となる父親(花粉親)が記載されます。
例: Tillandsia streptophylla×novakii
▼交配のやり方種について詳しくはこちら
▼交配名について詳しくはこちら
子株
子株(こかぶ)とは、ティランジアが成熟して開花する前後に出す子供です。一つの親株から1〜3株程度、多い場合10株以上出ます。
子株は変異が起きなければ基本的には親株と同じ遺伝子を持つクローンになります。
英語圏では、PUP(Puppy パピー)と言われます。
コルク
コルクとは、そのままワインなどのコルクの事を指します。小型のティランジアを仕立てるのに使われます。
コルク樹皮を略してコルクという場合もあります。
▼コルクに仕立てるやり方はこちら
コルク樹皮
コルク樹皮とは、ティランジアやビカクシダなどの着生材の一つで、コルクガシの樹皮を剥いだものです。ワイルドな見た目から人気の高い着生材です。バージンコルクや、省略してコルクと呼ばれる事もあります。
ティランジアをコルクに仕立てる事を、『コルク付け』と言います。
▼やり方はこちら
コンタミ(コンタミネーション)
コンタミとは、contaminationの略で、化学や医療・食品などの分野で「混入」や「汚染」を意味する業界用語です。園芸の世界では無菌播種の際に、密閉容器内に殺菌不足からカビが発生してしまう事を「コンタミする」と言います。コンタミが発生した場合、すぐに洗浄・殺菌し再度無菌播種を行うか順化させる必要があります。
さ行の用語
栽培品種/園芸品種
栽培品種(さいばいひんしゅ)とは、栽培環境下や野生から選抜された優れた特徴を持つ原種や、交配種を「栽培品種」と呼び、名前が付けられることがあります。その性質は子株(クローン)に受け継がれる事が確認されていなければならず、基本的には3世代目(3F)までその性質が維持されないと、品種登録しないのな植物の世界での基本的な暗黙ルールとなっていますが、守られていない場合も多々あります。
名前は【Tillandsia ●●●‘○○○’】と表記され、前半の●に上位の品種名、後半の○に単一引用符(‘ ’)で囲んだ形で栽培品種小名が表記されます。
(例) Tillandsia ionantha ‘Fuego’
園芸品種も同じ意味で使われますが、こちらはより園芸的なニュアンスを含みます。
自然交雑種
自然交雑種(しぜんこうざつしゅ)とは、人工的に交配してつくり出したものではなく、自然に他の種と受粉し生じた交配種を指します。自然交配種とも言います。
有名な自然交雑種には、ティランジア・ニドゥス Tillandsia ‘Nidus’ (T. ionantha x fasciculata) などが挙げられます。
交配親が不明な場合は、種名の後ろにnatural hybrid(ナチュラルハイブリッド)と記載される事もあります。
例:Tillandsia streptophylla natural hybrid
自家受粉
自家受粉(じかじゅふん)とは、同じ個体の花粉が同じ株または同じ花の雌しべに受粉し結実する事を指します。ティランジアは基本的に自家受粉しにくい性質を持ちます(一部品種を除く)。対して、他の個体と受粉・結実する事を他家受粉(たかじゅふん)と言います。
シックリーフ
シックリーフ(ThickLeaf)とは、基本種と比べて太い・分厚い葉を持つ品種を指します。
例:Tillandsia duratii ‘Thick Leaf’
自然播種
自然播種(しぜんはしゅ)とは、ティランジアの播種方法の一つで、種子を水苔やパームマット、キッチンペーパーなどに自然的に播種する事を言います。対して、培地を作って密閉容器に播種する事を無菌播種と言います。
シードポット
シードポットとは、種の入った鞘(さや)を指します。種子鞘(しゅししょう)とも。
成熟すると自然に弾けて綿毛が付いた種子が出てきます。
シードリング
シードリング(seedling)とは、種から生育する事を言います。実生(みしょう)とも。
実生株はある程度のサイズに成長するまで、種の持つ特徴が出にくく幼苗では品種の同定が困難です。
品種名の後にseedlingと書かれている場合、その株は実生株という事になります。
例:Tillandsia caput-medusae(seedling)
シノニム
シノニム(synonym)とは、別種と判断して記載されていた種が、後にある種と同種であると見なされた場合などに、元々使われていた名前に対して付けられるものです。一般的な文脈ではシノニムで記載される名称は正しい学名ではないという意味を包含しています。
キセログラフィカと同種として分類されたトマセリーの場合、「ティランジア・トマセリーは、ティランジアキセログラフィカのシノニムである」といった使われ方をします。
学名記載の例:Tillandsia tomasellii (syn. Tillandsia xerographica)
シブリング
シブリング(sibling)とは、同一品種同士を掛け合わせる事を言います。同じ親から生まれた子供同士の交配する事で、親株の性質を維持しつつ「自殖弱勢」を回避する事ができます。
遮光
遮光(しゃこう)とは、主に屋外管理の際に強すぎる直射を遮光ネットなどで和らげ、株を葉焼けさせないようにする事を言います。
最高気温が30℃を超える6〜10月は、遮光が必要です。ただ、この時期でも涼しい時間の朝日しか当たらないようなら遮光の必要はありません。
ネットの遮光率は品種や環境に合わせて30〜50%程度のものから選びます。
室内に置く場合でも日中直射が差すようならレースカーテンなどで遮光してあげる必要があります。
順化
順化(じゅんか)とは、環境変化に慣れさせる事を言います。
野生株や海外輸入株を日本の気候環境に慣れさせたり、無菌播種において、高湿潤環境から外気の乾燥した環境に慣れさせたりする場合に使用します。
▼無菌播種の順化について詳しくはこちらで解説
水耕栽培
水耕栽培(すいこうさいばい)とは、根や株元を水に付けながら生育する事を言います。
ティランジアは、暖かく、明るく風通しの良い環境なら腰水管理で生育を早める事が出来ます。ただし品種によっては腐ってしまうものもあるので注意が必要です。エアープランツ巨大化計画の生育方法です。
ストロン
ストロン(Storon)とは、子株を出すために伸ばす茎の事を指します。ティランジアとしては珍しい子株の出し方になります。成長点から茎を伸ばしていくヴィヴィパラ種とは異なります。
ストロンを出すティランジアの例:ディスティカ・マキシマ、ディスティカ・ジャイアントフォームグレイ、クリスタガリ…etc
すっぽ抜け
すっぽ抜けとは、蒸れなどで内部が腐った状態で中央部分の葉を引っ張った際に、成長点から抜け落ちてしまう事を言います。すっぽ抜けて初めて株が蒸れている事に気づく事が多く、非常にショッキングな状態です。芯抜けとも。
すっぽ抜けてしまっても中芯が生きていれば、脇から子株が出る事があるので、最後まで諦めずお世話をしましょう。
成長点
成長点(せいちょうてん)とは、根や茎の先端にある細胞分裂が活発な部分で、植物が成長するために重要な役割を果たしています。成長点では細胞が次々に作られ、ここを起点に茎や葉が伸長します。
成長点潰し
成長点潰し(せいちょうてんつぶし)とは、株の成長点を物理的に傷つける事で、開花や株の成長を止める事を言います。これにより子株の増殖量を増やす事が可能な場合がありますが、ティランジアにおいてはやり方が確立しているわけではありません。
園芸用語では【摘芯】【芯止め】とも呼ばれます。
施肥
施肥(せひ)とは、肥料や活力剤を与える事を指します。ティランジアは肥料の濃度が高すぎると肥料焼けを起こしやすいので、初めのうちは規定よりもさらに倍の薄さで与えるのが良いとされています。
選抜
選抜(せんばつ)とは、素材系統を交配して作った集団の中から、目的に合った優良な個体を選び出す作業です。品種改良において、特定の有用な形質を持つ品種を選び出し、その品種同士のかけあわせを繰り返して育種する作業を「選抜育種」といいます。
ソーキング
ソーキング(soaking)とは、バケツなどに溜めた水に4~6時間ほど浸す行為を指します。軽度の水切れ時の応急処置に有効です。普段の水やりをソーキングに置き換える愛好家もいます。
冬の屋外では温度が低すぎるため行ってはいけません。
▼より詳しくはこちら
村長
村長(そんちょう)とは、熱帯植物栽培家の杉山拓己(すぎやまたくみ)氏の愛称です。
村民
村民(そんみん)とは、村長=杉山拓己(すぎやまたくみ)氏のファンを指します。
た行の用語
ダイソーチランジア
ダイソーチランジアとは、100円ショップのDAISOで手軽に手に入れる事が出来るティランジアの事を指します。近年取扱の品種が増えていますが、タグに「エアプランツ」「チランジア」とし書かれていない事も多く名前が分からず困っている人が多数いる模様。
園芸界隈にティランジアを普及させた立役者でもあります。
タイプローカリティ
タイプローカリティ(Type Locality) とは、タイプ標本株が採取された個体と同じ場所で採取された個体を指します。
例:Tillandsia stricta var.piniformis(Type Locality
他家受粉(たかじゅふん)とは、異なる個体間で受粉する事を指します。
ティランジアを始め多くの植物は自家受粉しにくい性質を持ちます。その理由は「自家受粉」をすると単一の親の遺伝子のみしか受け継ぐことができず、生き続けるための能力や適応力が向上しないためです。これは「近交弱勢」と言います。
「同株内の異花受粉」は遺伝子的に同じなので、自家受粉に含まれます。
タンクタイプ/タンク系
タンクタイプとは、水を好み根本が膨らみ貯水タンクの役割を果たす筒状の品種を指します。タンクタイプのティランジアは根から水を摂取する割合が高い場合があり鉢植えが適しており、株元に常に水を溜めて管理ましす。
タンクタイプのティランジアの例:ビフローラ、コンフェルティフローラ、リーマニー、ムルチカウリス、ムルチフローラ…etc
壺型種とは微妙に異なるニュアンスを持ちます。
着生
着生(ちゃくせい)とは、ティランジアから出た根が、流木などに活着する事を言います。ティランジアが発根するという事は株の状態が良いと言え、何かに着生しているティランジアは調子がいい証拠でもあります。またガルドネリなどの栽培難種は着生する事により生育が安定するとされています。
着生材には、流木や、コルク樹皮、ヘゴ板など様々なものが用いられます。
▼着生について詳しくはこちら
壺型種
壺型種(つぼかだしゅ)とは、株全体が丸みを帯びたつぼ型形状のティランジアを指します。水が溜まりやすく湿潤環境を好みますが、風や光の不十分な室内環境などでは蒸れの危険があるので注意が必要です。
壺型種の例:ストレプトフィラ、キセログラフィカ、エーレルシアナ、…etc
ディッピング
ディッピングとは、バケツなどに水を張り、ティランジアを短時間浸す水やり方法です。葉と葉の間まで水を行き渡せられるため、霧吹きで行う「ミスティング」よりしっかりと水やりを行う事ができます。長時間水につける方法は「ソーキング」と呼ばれ区別されます。
ティランジア/チランジア
ティランジアとは、ブロメリア科(パイナップル科)、ティランジア亜科、ティランジア族、ティランジア属の植物を指します。南米や中米など幅広い範囲に分布し、野生下では木やサボテン、岩などに着生をしています。その環境は乾燥地から湿地まで様々です。雨や霧で株を濡らし、水分を吸収し成長します。その整体から別名「エアプランツ」と呼ばれ親しまれています。交配種や変種も含め2,000種以上と豊富で、全ての品種で花が咲き、種や子株から増えていきます。
フィンランド人の植物学者 エリアス・ティランツ Elias Tillandz 氏に因む名称なので、正しい発音は「ティランジア」であり、「チランジア」は厳密には誤りになります。(ただ、日本では「チランジア」の方が定着してしまっている。)古い呼び名として「チランドシア」と言われる場合もあります。
▼詳しくはこちら
綴化
綴化(てっか)とは、株の生長点に傷が入ったり突然変異が生じる事で、成長点が帯状に綴(つづ)れて現れ生長して外見的な変形が見られる現象の事を言います。クレステッドとも呼ばれます。
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同定
同定(どうてい)とは、分類上の所属を決定すること、種を判別することを言います。ティランジアの場合同定が難しい場合は、花の特徴から同定できるケースが多くあります。
登録品種
登録品種(とうろくひんしゅ)とは、BCRに国際品種登録されている、交配種などの園芸品種を指します。
トリコーム
トリコーム(trichome)とは、ティランジアの表皮細胞が突起状に伸びた植物体毛の事で、水を効率的に吸収するための機関とされています。乾燥地のティランジアほどトリコームが発達しています。トリコームの多いティランジアは白っぽく見える事から銀葉種と言われます。トライコームとも。
トリコームレス
トリコームレス(trichomeless)とは、トリコームが突然変異などにより欠損した状態を指します。
▼詳しくはこちら
な行の用語
ナーセリー(ナーサリー)
ナーセリー(nursery)とは、植物の苗を栽培する培地、種苗場、苗床、種苗会社、種や苗、肥料を売っているお店を指します。ナーサリーと読まれる場合もあります。
煮え
煮え(にえ)とは、株が濡れた状態で夏場の直射日光に晒されるなどした場合に、熱が内部まで達しダメージを受けてしまう事を指します。
日本ブロメリア協会
日本ブロメリア協会とは、ブロメリアを愛する初心者からエキスパートまでが集まり、情報交換や見学会、種苗の交換、講演会、会報の発行などを通じて、ブロメリア科植物栽培の上達、普及促進活動を行っている団体です。会長は、医師でありながらブロメリア分類学者でもある滝沢弘之氏です。ホームページから誰でも入会できます。入会費1,000円・年会費3,000円で、年に一度の会報と数ヶ月おきに東京・大阪で行われるプロメリアフェスタ・総会(どちらも展示・即売イベントあり)への優先無料入場が主な特典です。
ノーネーム
ノーネーム(名無し)とは、固有の品種名が付いていない個体を指します。
ティランジア・カーリースリムのように、【交配名が付けられBCRに品種登録されているネーム付きの交配種】もあれば、【品種登録されずに名前が付けられていない交配種】も存在します。
名無しの場合、Tillandsia ○○○×●●●と表記され、前半にめしべ側となる母親(種子親)、後半におしべ側となる父親(花粉親)が記載されます。
(例) Tillandsia streptophylla×novakii
また、ナーセリーなどにより作出された交配種は、品種登録されずにに品種名が付けられているものも多くあります。
品種登録自体は販売側の商業的な箔付け、ブランディングの意味合いが強い場合もあります。
名前が付いている品種は、登録の有無に関わらずネーム付きと言われます。
は行の用語
ハイブリット
ハイブリット(hybrid)とは、異なる種が掛け合わさって生まれた品種全般をさします。人工的に交配されたものを交配種、野生下で交配したものを自然交雑種と呼び区別されます。
ハイポネックス
ハイポネックスとは、観葉植物用の肥料でポピュラーな製品です。ハイポと略される場合もあります。通常のハイポネックスはリンサンを多く含む「山形」タイプで、開花促進効果があるとされています。
発根
発根(はっこん)とは、株から根が出てくる事を言います。発根する株は元気がいい証拠です。
播種
播種(はしゅ)とは、種を蒔く事を指します。ティランジアの播種には、水苔などに種を蒔く自然播種と、密閉容器に培地を作りそこに種を蒔く無菌播種の2つの方法があります。
ハビタットスタイル
ハビタットスタイル(Habitat Style)とは、自生地での姿、環境を鉢の中で再現したスタイリングを指します。主に多肉植物やサボテンの鉢に自生地に近い用土や鉱物・石などを組み合わせて作られるもので、近年人気が高まりつつあるスタイルです。
Habitatとは、生息地・自生地を意味します。
▼ティランジアへの取り入れ方はこちら
葉焼け
葉焼け(はやけ)とは、日光の熱で葉がダメージを負う事を指します。夏季は遮光ネットなどで光を和らげる必要があります。無風だと表面温度が上がりやすく葉焼けが起こりやすいので注意が必要です。
また、育成ライトの出力が高すぎたり距離が近すぎたりする場合でも起こります。
▼葉焼け対策について詳しくはこちら
バリエガータ
バリエガータ(Variegata)とは、斑入りを指します。
イオナンタにおいては斑の入り方に応じてバリエガータだけでなく、メディオピクタや、アルボマージナータなどの栽培品種名があります。
肥料焼け
肥料焼けとは、肥料の濃度が高過ぎる事で、葉が枯れるなどダメージを受けた状態を指します。
ヘゴ板・ヘゴ材
ヘゴ板とは、木生シダの気根が集まった幹を加工したもので、ティランジアの着生材として用いられます。植物にやさしい天然素材を使用しており、適度な透水性と保水性、強度を兼ね備えています。劣化するとパラパラと崩れてくるのが弱点です。フェゴ板とも言います。
培地
培地(ばいち)とは、無菌播種で用いる養分を含んだゼリー状の苗床を指します。
花芽
花芽(はなめ)とは、花を咲かせるために成長点から出てくる芽を指します。
斑/斑入り
斑(ふ)とは、色素体の異常などによって出る葉の模様の事を指します。
斑の入った株を【斑入り】と呼びます。ティランジアは斑が出にくい植物なので、斑入りの個体は非常に高価格で取引されます。
バリエガータ(Variegata)とも。
▼斑入りについて詳しくはこちら
札落ち
札落ち(ふだおち)とは、品種名が書かれた札などがなくなって、何の品種なのかわからなくなってしまった状態の事を指します。ラベルが失われると種名や種小名、交配名などがわ分からなるので、株の価値が大きく低下してしまいます。
不発
不発(ふはつ)とは、花芽が上がってから蕾のまま咲かずに枯れてしまう事を言います。開花失敗とも言われます。栄養不足や、急激な環境変化、直射日光による高熱、カイガラムシなどの害虫が主な原因になります。
ブラジル赤花種
ブラジル赤花種とは、ブラジル原産の赤〜ピンク色の花を咲かす品種で、カウツキーやスプリンゲリアナなどの近縁種の総称です。
ブラジル赤花種の例:スプリンゲリアナ、カウツキー、ヘウベルゲリ、スークレイ(ピンク花)、ロゼイフローラ、レクリナータ、ブラキフィラ…etc
ブロメリア
ブロメリアとは、パイナップル(アナナス)科の植物の総称で、学名はブロメリア科(Bromeliaceae)です。北米カリブ海沿岸から中米、南米を中心とした南北両アメリカ大陸を原産とする熱帯植物で、ブロメリア科は8亜科58属に分類され、3200種以上確認されています。
ブロメリア科の植物は生態的には以下の3つのグループに分けられます。
- 葉から水を吸う エアブロメリア(ティランジア属など)※エアプランツと呼ばれる植物群はここに属しています
- ロゼットの中央に水を貯める タンクブロメリア(ビルベルギア属・ネオレゲリア属など)
- 地面に根を下ろす グラウンドブロメリア(ディッキア属など)
ま行の用語
無菌播種/無菌培養
無菌播種(むきんはしゅ)とは、雑菌が存在しない無菌状態の空間である「クリーンベンチ」の中で、寒天状の培地に種を播き、培養容器内で発芽させる技術です。一般家庭でも簡易的な無菌を行う事ができます。
▼詳しくはこちら
ミスティング
ミスティングとは、霧吹きなどで水を与える事を言います。
実生
実生(みしょう)とは、種から生育する事を言います。シードリング(seedling)とも言います。
実生株
実生株(みしょうかぶ)とは、種から生育された株を指します。
ミューテーション
ミューテーションとは、突然変異を指します。
蒸れ
蒸れ(むれ)とは、株が水分を代謝しきれず、水分過多で内部が腐ってしまう事を言います。
蒸れの原因は水のやり過ぎですが、厳密には光と風不足による代謝不振です。光と風が十分にあれば殆どの品種は毎日水やりしても蒸れることは有りません。
内部が腐って成長点がすっぽ抜けるまで分からないので、気づいた時には手遅れである事が多いです。
▼水やり回数について詳しくはこちら
メキシコ緑花種
メキシコ緑花種とは、メキシコ原産の緑色の花を咲かせる品種の総称です。
メキシコ緑花種の例:モーリアナ、アトロヴィリディペタラ、ペナスコエンシス、レピドセパラ、プルモーサ、トルティリス
モノカルピック種
モノカルピック種(monocarpic)とは、一般的には開花すると子株を吹かずそのまま枯死する性質を持つ種を指します。ティランジアは通常、数年で開花して子株を吹いて世代交代しますが、モノカルピック種のティランジアは、グラス(不定芽)の子株を吹きます。グラスは成長が遅く、増殖させるには実生を行う必要がある場合があります。単稔性種(たんねんせいしゅ)とも言います。
モノカルピック種の例:マコヤナ、デュゲシー、エイジー、ウトリクラータ・プリングレイ、パメラエ…etc
モンストローサ /モンストローズ
モンストローサ /モンストローズとは、成長点がいたる所に出て、形状自体が大きく変化する事を言います。石化(せっか・せきか)とも。サボテンの世界では獅子化(ししか)と呼ばれたりもします。
イオナンタの石化個体は【Tillandsia ionantha ‘Monstrose’(モンストローズ)】で英語表記となっていますが、ラテン語のMonstruosa(モンストローサ)で呼ばれることが多い印象です。どちらも同じ意味です。
※monstruosa(モンストローサ)はラテン語で”怪物のような”という意味があります。
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や行の用語
野生採取・山採り
野生採取(やせいさいしゅ)・山採り(やまどり)とは、自生地で野生の個体を採取する事を指します。野生採集、現地採集とも。
自生地で採取された株は、野生株・山採り株・現地株・ワイルド株などと呼ばれます。
野生採取株は、栽培環境への順化ができなかった場合、突然体調を崩して枯れてしまうリスクがあるため、格安で取引される場合が多いです。
また、違法な野生採取から守るために、ワシントン条約(CITES/サイテス)で保護されている品種(キセログラフィカやハリシーなど)もあります。ただ、保護対象になっている品種以外にも現地の業者による乱獲で絶滅の恐れのある品種が多く存在しているため、国内では「野生株は取り扱わない」という業者も多くあります。
珍奇植物業界ではマダガスカルなどが特に悲惨で、途上国で取り締まりも十分ではないため、高値で売れる希少な野生採取株を、規制の緩い実生株と偽り密輸する現地の業者が存在し、それを知らずに(あるいは承知の上で)仕入れている日本のバイヤーが多くいるのが現実です。(日本は欧州ほど自生地保護の意識が高くない)
消費者としては、そこを確かめる術はありませんが、このような現実があるという事は知った上で、園芸を楽しむ必要があります。
▼山採り株について詳しくはこちら
有茎種/有茎タイプ
有茎種(ゆうけいしゅ)とは、茎が伸びる形態の品種を指します。壺型種と区別されます。
有茎種のティランジアの例:アルビダ、ロゼオスカパ、フンキアナ、アリザ、エディシアエ…etc
由来
由来(ゆらい)とは、その株がどこのナーセリーで生産されたかや、誰が登録した品種か、またBCR記載タイプのクローンであるなどの血統性の事を指します。「ドイツのケーレス由来の株」「由来がはっきりした株」などといった使われ方をします。
ら行の用語
ランナー
ランナーとは、子株をつけるために株の基部から出す長い茎を総称した名称です。ヴィヴィパラフォームやストロンの茎はどちらもランナーと呼ぶ事ができます。
流木
流木(りゅうぼく)とは、ティランジアの着生材の一つで、木の幹や枝、根など様々な形状や色が選べます。インテリア性も高く人気の高い着生材です。
海や川、湖なのなどで拾う事もできます。海で拾う場合、塩抜きしてあった方が良いとされます。
ティランジアを流木に仕立てる事を、『流木付け』と言います。
▼流木付けのやり方はこちら
緑葉種
緑葉種(りょくようしゅ)とは、ティランジアの生態的分類で、トリコームの少ない緑色の葉を持つ品種の総称です。緑葉系とも。トリコームの発達した銀葉種と区別されます。
ロゼット/ロゼットタイプ
ロゼットとは、茎が伸びず放射状に展開する葉姿を指します。そのような形で生育する種をロゼットタイプと呼びます。
わ行の用語
ワイルド株
ワイルド株とは、自生地にて野生採取された株を指します。現地株や野生株とも。
愛好家の間では、「厳しい環境で育てられた状態が思わしくない株」を指す事もあります。
ワシントン条約(CITES/サイテス)
ワシントン条約(CITES/サイテス)とは、正式には「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora)」で、希少な野生動植物の国際的な取引を規制する条約です。輸入出には厳しい規制がかかり輸出許可書を要します。
希少性に応じてランク分けされており、条約の附属書I、II、IIIがあります。
ティランジアからは、以下の7種がCITESⅡに記載されています。【ハリシー、キセログラフィカ、カウツキー、カミー、スプリンゲアナ、モーリアナ、スークレイ】
英字の用語
BCR
BCR(ビーシーアール)とは、Bromeliad Cultivar Registerの略で、国際ブロメリア協会によるブロメリアの品種登録です。BCRに登録された品種は、「登録品種」「記載品種」と呼ばれます。
BCRへの登録は商業的には品種の箔付けの意味合いも強い印象です。
No ID
No ID(ノーアイディー)とは、品種が不明である事を指します。不明種とも。また、札落ち(ふだおち)とほぼ同義です。
Tillandsia ionantha No ID と記載されている場合、『No ID』が栽培品種名と間違われる場合が多いのですが、実際にはイオナンタの品種不明株という事になります。
国内の有名ナーセリー
エアープランツ天狗堂
福岡県糸島市のエアープランツ専門店で、輸入・生産・販売を行なっています。九州では最大規模のナーセリーになります。定期的にハウスを開放して直売も行なっています。
▼詳しくはこちら
ECOLOGY PLANTS INC.(エコロジープランツ)
たゆみま
南紀グリーンハウス
三重県にある国内最大規模の老舗エアプランツファームです。
BANKS Collection(バンクスコレクション)
杉山拓己氏による園芸用品のブランドです。株の販売は「村長の直売所」で行われます。
T’S TROPICALS (ティーズトロピカルズ)
日本ブロメリア協会会長の滝沢弘之氏によるブロメリア販売のブランドです。
SPECIES NURSERY (スピーシーズナーサリー)
藤川史雄氏によるティランジアをはじめとする各種ブロメリア、多肉植物、球根植物などの珍奇植物等、原種を中心に世界中の個性の強い植物を取り扱っているナーセリーです。
海外の有名ナーセリー
CYC Nursery (シーワイシーナーセリー)※台湾
Rainforest Flora Inc / RFI(レインフォレストルローラ)※アメリカ
Tillandsia in Hawaii / Domingo Jerry(ジェリードミンゴ)※アメリカ
Tropifrola(トロピフローラ)※アメリカ
Koehres Kakteen(ケーレス)※ドイツ
栽培家・著名人
杉山拓己
杉山拓己(すぎやまたくみ)氏は、愛知県にハウスを構える熱帯植物栽培家です。愛知県でビカクシダやブロメリアなどをはじめ、数多くの熱帯植物、観葉植物の育種・生産に取り組んでいる。BANKS Collection バンクスコレクション取締役COO。2015年TBSマツコの知らない世界、2016年NHKあさイチ「グリーンスタイル」2017年NHK趣味の園芸、NHKあさイチ「グリーンスタイル」など多数のメディア露出が多数あります。YouTubeやInstagramで発信を行う令和の園芸家で、村長のあだ名で親しまれています。
滝沢弘之/滝沢会長
滝沢弘之(たきざわひろゆき)氏は、日本ブロメリア協会の会長を務めるブロメリア分類学の専門家であり、医師でもあります。1996年にフロリダ州・オーランドで開催された国際ブロメリア会議に日本人として初めて参加し、1998年に清水秀男氏とともに日本ブロメリア協会を発足させた業界の重鎮です。T’S TROPICALS (ティーズトロピカルズ)を立ち上げ販売も行っています。
藤川史雄
藤川史雄(ふじかわふみお)氏は園芸家、植物研究者で、SPECIES NURSERY スピーシーズナーサリーの代表。ティランジア界の第一人者です。
品種名の略号の種類
略号は、種の下に位置する区分を略した記号です。呼称する場合は基本的には英語読みになります。
【属名(Tillandsia)】+【種名】+【略号+亜種名や変種名】の順で記載されます。
syn. (異名)
英語名synonym(シノニム):別種と判断して記載されていた種が、後にある種と同種であると見なされた場合などに、元々使われていた名前に対して付けられるものです。一般的な文脈ではシノニムで記載される名称は正しい学名ではないという意味を包含しています。
例:Tillandsia tomasellii (syn. Tillandsia xerographica)=キセログラフィカのシノニムのトマセリー
ssp.(亜種)
英語名subspecies(サブスピーシーズ):基本種とは外見的・生態的に差異が認められるものを指します。
例:Tillandsia utriculata ssp. pringlei=栽培ウトリクラータ亜種のプリングレイ
var.(変種)
英語名 variety(バラエティ):基本種とは外見的・生態的に差異が認められるものを指します。
例:Tillandsia. ionantha var. stricta=イオナンタ変種のストリクタ
forma. / f.(品種)
英語名 form(フォーム):変種ほどではないが基本種とは外見的・生態的に変異が認められるものを指します。白花変異種がこれに分類される場合が多い印象です。英語読みはフォームですが、こちらはラテン語の「フォルマ」と呼称されます。
例:Tillandsia bulbosa forma. alba=ブルボーサの白花品種
※Tillandsia ionanth ‘Guatemala form’や、Tillandsia bulbosa ‘Giant form’ などに使われる【form フォーム】は品種ではなく園芸品種名であり、forma.とは異なります。
cv.(園芸品種 / 栽培品種)
英語名 cultivr(カルティヴァー):学術的に用いられる品種(forma. / f.)と異なり園芸的に用いられる言葉で、園芸品種である事を表します。園芸品種は「”」で囲うことでも表せるので、「cv.」で表記される事はあまりありません。
例:Tillandsia stricta cv. Silver = Tillandsia stricta ‘Silver’= ストリクタ栽培品種のシルバー
Tillandsia stricta cv. と記載された場合、はストリクタの栽培品種という情報のみになります。
aff.(未同定の近似種)
英語名 affinis(アフィニス):ある種とよく似ているが、同定はされていないものに用いられます。aff. は属名のすぐ後に来る場合もある。
例:Tillandsia aff. capitata = カピタータの類似種
cf.(未同定の参考種)
英語名 confer(コンファー):特定の種や亜種と同定するには不確定な場合に用いられます。
例:Tillandsia cf. carminea = 恐らくカルミネアである種
sp.(未同定種)
英語名 species(スピーシーズ):同定されていない原種や野生種を指します。
例:Tillandsia sp. = ティランジアの未同定種
その名無しの種が複数種類ある場合spp.となります。(sp.の複数形です)
参考文献:藤川史雄 「新版・ティランジア エアプランツ栽培図鑑」エムピー・ジェー出版