2019年にNHK「趣味の園芸」で紹介されていた、熱帯植物栽培家「杉山拓巳」さんの水栽培と肥料によるエアプランツ巨大化計画。立派に育った大きなエアプランツ(チランジア/ティランジア)が大好きな私には、非常に興味深い内容です。
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この記事では、私のこれまでの経験と照らし合わせつつ、この巨大化計画のやり方、そしてメリット・デメリットを解説していきます。
ダイソーやセリアなどの100均チランジア(イオナンタ・カプトメデューサエ・ブルボーサなど)の巨大化を行っている方にも必見ですよ。
【巨大化の5つのポイント】
1. 巨大化しやすい大型品種を選ぶ
まず、本書で巨大化にオススメされていたのは以下の4品種。どれも大型種です。
ストレプトフィラ / ブラキカウロス / ファシキュラータ / ハリシー
この方法を試す際は、予め大型になる品種かどうかを調べておく必要がありそうですね。
百均などにはなかなか無い品種ではありますが、ファシクラータとハリシーはグッデイでも500〜1000円程度で見かける品種です。
2. 葉幅の広い個体を選ぶ
葉幅が広く、張りのある生き生きした個体を選ぶことが巨大化の第一歩。個体選びから既に巨大化計画は始まっています。(写真のストレプトフィラは正直あまり葉幅が広くありません…。)
ストレプトフィラの場合、まずは10cm程度まで育ててからスタートさせる方が良いそうですよ。
3. 株の根元を水に付けっぱなしにする
巨大化させたい株を決めたら、いよいよここからが本番。
なんと根元を「水につけっぱなし」で育てます。いわゆる水耕栽培ですね。初心者の頃に腐らせた事がある身からしたら、何とも恐ろしい育成方でしょうか・・・。
発根している部分が浸るように2cmほど水を張りました。水がなくなったら補水します。
「チランジアの根は木に着生するためのもので、水は吸わない」と言う話をよく耳にしますが、生きた根は水を吸うとの事。とにかく根が出ないと始まらないので、出来れば発根し始めの株を選びましょう。
ちなみに輸入されているエアープランツは、検疫の関係で根をバッサリ切られた状態で店頭に並んでいます。
この時、枯れた下葉は発根阻害となる場合があるので綺麗に取り除いておきましょう。
4.空気を循環させる
エアプランツ栽培の基本となる要素ですが、室内での巨大化計画では特に押さえておかなければならない重要な項目です。
基本的に無風の室内ではサーキュレーターなどで24時間空気を循環させましょう。株の代謝(蒸散作用)が落ちると腐ってしまう危険があります。
(「植物には直接当てずに空気を面で動かす」との事ですが、私は気にせず上下左右首振りで直接当てています。)
個人的には外管理をお勧めします。
5.液体肥料+動物性完熟堆肥を与える
「動物性完熟堆肥」、エアプランツを普通に育てていたらあまり耳にしませんね。
この「動物性完熟堆肥」を葉の隙間にひとつまみの量を数カ所与えると一気に巨大化するとの事です。
杉山さん曰く、自生地では落ち葉や土が自然に葉の間に溜まり、それが栄養になっているそうです。
株が泥だらけになるのが嫌なので、堆肥を与える際は古い堆肥をしっかり洗い流してから追加してあげたいですね。
肥料を与える頻度は以下のペースがおすすめです。(生育期・外管理)
- 堆肥:月に1度
- 肥料:週に1度
- 活力剤:週に1度
- 水:毎日
肥料が葉に残ると濃度が上がり肥料焼けを起こしやすくなります。間の水やりでしっかり洗い流してリセットしてあげるのがポイントです。成長の鈍る8月と11〜3月は肥料のペースを半分にしてあげています。
ちなみに私が使用している堆肥こちら。
少なくて使いやすいです。
液体肥料については触れられていなかったのでこちらを使用。
皆様おなじみ【ハイポネックス】。始めは規定濃度よりも薄くして徐々に慣らしていきましょう。
それに加え、活力剤はこれまたお馴染み【HB101】を使用しています。
※2022/02/23追記 ————–
活力剤はエアプランツ巨大化計画の提唱者 杉山拓巳 さんプロデュースのバンクスコレクション【ブラックウォーター】に切り替えました。半年ほど使用していますが、かなり効きがよく成長スピードが上がったのでこちらもご紹介。
※2022/04/17追記 ————–
堆肥も同じく杉山さんプロデュースの【ザ コンポスト】に切り替えてみました。近所の園芸店の店員さんも自宅で使っているとの事でやはりその効果は確かなようです。
【メリット/デメリット】
◎ メリット
より早く、大きく育つ
ストレプトフィラの場合、うまくやれば1年で10cm→50cmまで巨大化させられる模様。
エアプランツはそれほど成長の早い植物ではないので、グングン大きくなる姿を見られたら嬉しいですよね。
効率的に数を増やせる
潜在能力を最大限に引き出し成長が早まる分、花や子株を出すタイミングも早くなるのではないでしょうか。
× デメリット
管理を誤ると枯れてしまうリスクがある
この育成方は、株元が常に濡れている状態となります。
エアプラ初心者が、やりがちなのが前述したように株を濡らしっぱなしにしてしまうことによる、ムレ・腐れではないでしょうか。
屋内でこの手法は正直怖い・・・
水が大好きなキセログラフィカやファシクラータのように、葉に水が溜まったままでも良い品種もありますが、それはしっかり風を管理できている場合の話。
また、冬場は温度管理ができないと危険です。風・温度管理に自信がない方は、水に漬けておくのは【屋外】で【最低気温が10度を上回る春〜秋まで】にしておいたほうが無難かも知れません。
株の美しさが損なわれる可能性がある
これは好みになりますが、ストレプトフィラやカーリースリムなど水分量で、姿が変わる品種は葉が伸びてワイルドな姿になる可能性が高いです。実際本書のストレプトフィラは生命力溢れるシルエットに成長していました。
特有の品のある巻き感を楽しみたい方は、水は辛めに管理し、ゆっくり育てる他ありません。
ストレプトフィラの場合変化が顕著で、見た目にこれだけ差が出ます。右が巨大化計画中、左が水耕栽培をやめて数ヶ月後の写真です。
【最後に】
いかがでしたでしょうか。
植物の生命力を引き出すエアープランツ巨大化計画。上手くやればダイソーやセリアなどで売ってある100均のエアプランツでも大きく育てる事が可能です。
ただ、この育成方はあくまでエアプランツを短期間で成長させるというのがメインかと思います。普通より多少大きく育てられるかもしれませんが、小型種の場合はある程度以上は大きくはならないのでそこは勘違いしてはいけません。
また管理を誤ると一発で株をダメにしてしまう禁断の育成方ですので、試される方は自己責任でお願いします。
▼巨大化計画の内容はこちらの号で特集されています。
より詳しく杉山さんの解説を確認したい方はこちらをご確認ください。
…と脅し文句を書いたものの、誘惑には勝てません。
我が家でも遂に2021年4月1日から屋外で巨大化計画をスタート。
A・Bテスト形式で一体どれほどの効果があるのか検証していきます。
ちなみに今回は【フレクスオーサ ヴィヴィパラ】の兄弟株に協力してもらいました。
開始時はほぼ同サイズでしたが、3週間で早くも大きさに違いが…!?
▼ABテストの検証記事はこちら▼
さらにこの方法で、
▼ストレプトフィラ巨大化させてみました▼
興味のある方はこちらも覗いてみてくださいね。
巨大化計画を行う方は合わせてこちらの記事も要チェックです!
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それでは今回はこの辺で。
<エアープランツの育成年間カレンダー作りました>
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