ティランジア はじめての無菌播種【やり方解説】種から発芽させてみよう!実生

ティランジアの無菌播種のやり方のアイキャッチ

↪︎ 最終更新 2025年 3月 2日

こんにちは、チラグラファー・愛好家の【wanchan(わんちゃん)】です。

種から育てると成熟までに長い時間がかかってしまうティランジア/チランジア(エアプランツ)。 そんなティランジアは【無菌播種(むきんはしゅ)】と呼ばれる特殊な方法で比較的早く生育させる事が出来ます。

無菌播種(無菌培養とも)はティランジアフリークならばいずれは行き着く領域…でも調べてみると「めんどくさそう・よくわからない…」となってしまいますよね。

この記事では初めての方でも簡単に実践できる無菌播種のやり方を解説していきたいと思います。

無菌播種とは?

植物の人工的繁殖法の一種。種子を次亜塩素酸ナトリウムなどで殺菌して、微生物・菌類などを排除してから、栄養成分の入った培地などに無菌的に種子をまくこと。無菌培養ともいう。

Wikipedia

ブロメリア科の種子はほとんど栄養分を含んでいないので、普通に撒いても生育には非常に長い時間がかかります。
そこで活用されるのがこの無菌播種。殺菌して無菌状態になった容器に、栄養成分の入った培地を入れそこに播種し、密封することで生育を飛躍的に早める事が可能になります。

ちなみに【自然播種】だと3年かかる初期の生育が、【無菌播種】なら1年程度に短縮できます。

次世代の開花までの長い道のり

こちらがティランジアを種から育てるロードマップです。無菌播種から次世代のお花を拝めるまでには最低でも5年ほどかかります。気長に、根気強く育てていきましょう。

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無菌播種に必要なもの

ティランジアの無菌播種に必要なもの
  • ハイポネックス微分
  • 砂糖(ショ糖)
  • 粉末寒天
  • 小ビン(密封できるもの)
  • 次亜塩素酸ナトリウム溶液
  • 霧吹き
  • 500cc以上の計量カップ(耐熱)
  • かくはんようのスプーン
  • ピンセット
  • 計量器
  • ティランジアの種子

【ハイポネックス微粉】と【砂糖】はティランジアの栄養素として、【寒天】は培地を固めるのに使います。

ちなみに【ハイポネックス微粉】以外はDAISOで準備できるものばかりです。ただ、途中でコンタミ(コンタミネーション:菌が混入する事)してカビが発生するとアウトなので、ビン選びが非常に重要です。ビンは安物ではなくなるべく密閉性の高いものにしましょう。

フタに付いている密閉用の樹脂がしっかりしているものがおすすめです。

瓶の蓋の裏

▼私が今回使用したアイテムはこちら▼

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培地の配合割合

ハイポネックス微粉1g
砂糖(ショ糖)10g
粉末寒天4g
500cc

培地の配合割合についてはさまざまな意見・情報がありますが、私はこの分量で培地を作っています。

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無菌播種の手順/実生方法

1 使用する道具を熱湯消毒する

チランジアの無菌播種の準備

まずは使用する容器や器具を熱湯消毒します。ちなみにこのタッパーはDAISOで買いました。

また、作業前には手はしっかり洗います。万全を期すなら、使い捨てのビニール手袋などを付けるのもありでしょう。(次亜塩素酸ナトリウムスプレーは手が荒れるので、肌が弱い方は手袋を着用するのがおすすめです。)

2 殺菌スプレーを作る

  • 次亜塩素酸ナトリウムを希釈する
  • 次亜塩素酸ナトリウム溶液を霧吹きに移す
  • 次亜塩素酸ナトリウム溶液の完成

続けて次亜塩素酸ナトリウムの殺菌スプレーを準備していきます。無菌播種の際コンタミを防ぐのに必須のアイテムです。

今回殺菌スプレーには「チュチュベビー つけるだけ」を使用しましたが、そのままでは次亜塩素酸ナトリウム溶液濃度が1%と濃すぎるため、0.05%になるよう20倍に薄めていきます。

今回は250ml作るので、溶液12.5ccに対し水235ccを加えました。

完成した液体を霧吹きに移せば、次亜塩素酸ナトリウムの殺菌スプレーの完成です。

3 使用する道具を殺菌する

無菌播種の前の消毒

作った次亜塩素酸ナトリウムスプレーで使用する道具を再度殺菌していきます。

これを怠ると確実にコンタミしてしまうので、面倒くさがらずに行ってくださいね。

4 培地を作る

計量カップに培地の元を入れていきます。

ハイポネックス微粉、砂糖(ショ糖)、かんてんを規定量入れ、沸騰したお湯を加えてかき混ぜます。

ハイポネックス微分は溶け残りやすいので、混ざりきらないようならラップをかけ電子レンジで再加熱し、スプーンなどでよくかき混ぜて下さい。

(鍋などで火にかけながら作っても構いません)

5 密閉ビンに培地を入れる

エアプランツの無菌播種の培地を瓶に移す

作った培地が固まらないうちに、ビンに厚み1〜2cmの量を流し込みます。

続けて念のため次亜塩素酸ナトリウムスプレーでビンの中とフタを殺菌し、フタをしっかりと閉めます。

6 培地が固まるまで待つ

培地が固まるまで待つ

培地が固まるまで30分ほど待ちます。

冷蔵庫に入れると培地をより早く固める事ができます。ビンを傾けても動かない程度になっていれば培地の出来上がりです。

7 種子を殺菌する

チランジアの種を消毒する

培地が固まるのを待つ間に、種子を次亜塩素酸ナトリウムスプレーで殺菌しておきます。スプレーして10分ほど放置すれば十分です。

8 種子を培地に並べる

  • チランジアの種を培地に入れる
  • ティランジアの種を培地に広げる

殺菌したピンセットを使用し、固まった培地の上に種子を並べていきます。この時だまにならないようなるべく広げて配置してあげましょう。

指は雑菌だらけな上に、種子をうまく掴めないのでピンセットを使用するようにして下さい。

9 再度殺菌しフタを素早く閉める

  • 蓋を消毒
  • 培地後とビンを消毒
  • ティランジアの無菌播種の培地に蓋を閉める

種を並べ終わったら、培地ごとビンとフタに次亜塩素酸ナトリウムスプレーを吹きかけしっかりとフタを閉めます。

このタイミングでの菌の混入が一番怖いので、出来る限り素早く行いましょう。

10 ラベリングして完成

  • 無菌播種した瓶にラベリングする

交配親と播種した日付をラベリングします。

ビンを再利用する場合は紙などを貼り付けてそこに書いてもいいでしょう。ちなみに今回は、カーリースリム×ストレプトフィラの種子を使用しました。

これで無菌播種は完了です。お疲れ様でした!

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播種後のビンの管理方法

明るい環境で保管

水やりなどの世話がいらないので、基本的に何もしなくて大丈夫なのですが、置き場所には注意が必要です。温度は最低15℃から最高30℃以内で、レースカーテン越しの優しい光が当たる明るい環境で管理してあげて下さい。

夏の日射はかなり熱を持ち危険なので、出来れば育成ライトを導入しましょう。

ビンを横に倒す

ビンを倒しておくと光が当たりやすくなります。

ただし、播種直後にビンを傾けると培地が容器から剥がれる恐れがあるので、1日程度空けてからにしましょう。ビンを倒す際は種子が中の液体で流されないように注意して下さい。

※育成が完了し、苗を取り出すまでは絶対にビンのフタは開けないでください。

今回はビンを使用しましたが、ジップスタンドパックを使用する方法もあります。

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コスパが良く、使い捨てできるのでおすすめです。

1ヶ月後

2週間ほどで発芽し、そのまま少しだけ大きくなりました。発芽率は100%でした。

4ヶ月後

ようやくティランジアらしくなってきました。

1年後

10ヶ月過ぎた辺りから一気に成長速度がUPします。

実生は株分けと違ってそれぞれに違う遺伝子を持つので、個体差が出やすいです。

まったく同じ管理をしていても倍以上の差が出ています。

ちなみに1年経過時点で、5ビン中2つコンタミしました。

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苗を取り出すタイミング

半年〜1年の期間を目安に開封し苗を取り出します。

瓶から取り出したばかりの苗は乾燥に極端に弱いので外気環境に慣らす必要があり、これを『順化(じゅんか)』と言います。

▼順化のやり方はこちら

途中でコンタミした場合の対処方法

無菌播種中に発生した白カビ

途中でカビが発生した場合は、無菌播種は中止してください。

すぐに異変に気付けるよう定期的に苗の様子を観察するようにしましょう。

4ヶ月未満:無菌播種をやり直す

  • 無菌播種のビンからティランジアを取り出す
  • ティランジアの苗に絡みついた綿毛を除去
  • チランジアの苗についた培地を洗い流す
  • 次亜塩素酸ナトリウム溶液でコンタミした苗を消毒

ビンから苗を取り出し、汚染された綿毛を可能な限り取り除き、水で培地を洗い流します。

その後最初の無菌播種同じ手順で消毒を行い培地を作り直し、再び瓶に詰めて無菌播種を再開させます。殺菌が十分でない場合は再びコンタミする可能性がありますので慎重に作業を行いましょう。

4ヶ月以上:再度無菌or順化させる

チランジア順化中の管理

無菌播種から4ヶ月以上経過し、なおかつ株のサイズが2cm程度まで成長していれば、そのまま順化させてもいいでしょう。

▼詳しくはこちらの記事で解説

シードポットから種を取り出すタイミング

▼こちらの記事で解説しています

シードポットから種を取り出す方法

▼こちらの記事で解説しています

ティランジアの種の作り方

▼受粉・交配のやり方はこちらの記事にまとめました

▼交配の相性についての記事もあります

終わりに

いかがでしたでしょうか?一見難しそうに感じるかもしれませんが、アイテムさえ揃えてしまえば無菌播種は小一時間でできちゃいます。

皆さんもぜひティランジアの無菌播種に挑戦してみてくださいね。

それでは今回はこの辺で。

▼エアプランツの基本的な育て方はこちら

▼分からない言葉はありませんでしたか?

コメント

  1. 匿名 より:

    丁寧な無菌播種、具体的でとても分かりやすくて良かったです。

    1. wanchan より:

      ありがとうございます!
      また有益な情報が得られ次第どんどんリライトしていきます。どうぞ宜しくお願いします。

  2. わたフォーリー より:

    とてもわかりやすい解説ありがとうございました。最近、購入したエアプランツの名前がわかりません。写メ送ったら教えてもらえますか?

    1. wanchan より:

      お役に立てて嬉しいです!
      私にわかる範囲なら!

      購入場所とお値段も教えていただけると参考になります!

    2. wanchan より:

      画像はイスンタか、Twitterやられていればそちらからだとスムーズてす!
      やられてない場合は、
      mood_pg_park@yahoo.co.jp
      こちらまで!

  3. ぴーちゃん より:

    コメント失礼します。
    ガルドネリも無菌播種できるのでしょうか?あの培地であの柔らかな葉が育っていくのかが知りたくて、1年前の種を入手し無菌播種に挑戦しましたが芽が出ず。。古い種のせいなのか、そもそも無菌播種に適さない種類なのか分からずじまいで実験が終了してしまいました。気になるのでご存じでしたら教えて頂きたいです。

    1. wanchan より:

      コメントありがとうございます!
      まず種は古いと発芽率が格段に落ちちゃうんです…シードポットが弾けた直後のものだと9割以上の発芽率になります。なのでなるべく新しいものを使って欲しいです。購入される場合も鮮度を確認してみてください。

      ガルドネリでよ無菌播種はやった事はないですが、1年程度であれば問題なく瓶の中で育てられると思います。

      是非また挑戦してみてください!

      1. 匿名 より:

        お返事ありがとうございます!種が古すぎた可能性が高そうですね。1年ものの種はダメだということが学べました!
        次は鮮度に気をつけて探したいと思います!お答えいただきありがとうございました。

  4. nia より:

    2週間くらい前、自家受粉したブラキカウロスのシードポットが弾けました。無菌播種を始めようと思うのですが、真夏は避けたほうが無難でしょうか?家にいない時間も長く、部屋の中が高温になることを心配しています。
    種を取ってから一ヶ月くらい後でも発芽率は下がりませんか?

    1. wanchan より:

      コメントありがとうございます。
      発芽率については、1ヶ月程度ならそこまで下がらないかと思います。ただ次の生育期の9月末まで待つとやはり少し下がるかもしれません。私なら今からやります。
      お家の構造によっては締め切るとかなり温度上がっちゃいますもんね…小窓など開けておければいいのですが通気はいかがでしょうか?
      おうちの涼しい部屋で育成ライトを使用できればベストです!

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