ティランジア はじめての無菌播種【やり方解説】種から発芽させてみよう!

ティランジアの無菌播種のやり方のアイキャッチ

種から育てると成熟までに長い時間がかかってしまうティランジア/チランジア(エアプランツ)。 そんなティランジアは【無菌播種(むきんはしゅ)】と呼ばれる特殊な方法で比較的早く生育させる事が出来ます。

無菌播種(無菌培養とも)はティランジアフリークならばいずれは行き着く領域…でも調べてみると「めんどくさそう・よくわからない…」となってしまいがちですよね。

この記事では初めての方でも簡単に実践できる無菌播種のやり方を解説していきたいと思います。

無菌播種とは?

植物の人工的繁殖法の一種。種子を次亜塩素酸ナトリウムなどで殺菌して、微生物・菌類などを排除してから、栄養成分の入った培地などに無菌的に種子をまくこと。無菌培養ともいう。

Wikipedia

ブロメリア科の種子はほとんど栄養分を含んでいないので、普通に撒いても生育には非常に長い時間がかかります。
そこで活用されるのがこの無菌播種。殺菌して無菌状態になった容器に、栄養成分の入った培地を入れそこに播種し、密封することで生育を飛躍的に早める事が可能になります。

ちなみに【自然播種】だと3年かかる初期の生育が、【無菌播種】なら1年程度に短縮できます。

無菌播種に必要なもの

ティランジアの無菌播種に必要なもの
  • ハイポネックス微分
  • 砂糖(ショ糖)
  • 粉末寒天
  • 小ビン(密封できるもの)
  • 次亜塩素酸ナトリウム溶液
  • 霧吹き
  • 500cc以上の計量カップ(耐熱)
  • かくはんようのスプーン
  • ピンセット
  • 計量器
  • ティランジアの種子

【ハイポネックス微粉】と【砂糖】はティランジアの栄養素として、【寒天】は培地を固めるのに使います。

ちなみに【ハイポネックス微粉】以外はDAISOで準備できるものばかりです。ただ、途中でコンタミ(コンタミネーション:菌が混入する事)してカビが発生するとアウトなので、ビン選びが非常に重要です。ビンは安物ではなくなるべく密閉性の高いものにしましょう。

フタに付いている密閉用の樹脂がしっかりしているものがおすすめです。

瓶の蓋の裏

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培地の配合割合

ハイポネックス微粉1g
砂糖(ショ糖)10g
粉末寒天4g
500cc

培地の配合割合についてはさまざまな意見・情報がありますが、私はこの分量で培地を作っています。

無菌播種の手順

1 使用する道具を熱湯消毒する

チランジアの無菌播種の準備

まずは使用する容器や器具を熱湯消毒します。ちなみにこのタッパーはDAISOで買いました。

また、作業前には手はしっかり洗います。万全を期すなら、使い捨てのビニール手袋などを付けるのもありでしょう。(次亜塩素酸ナトリウムスプレーは手が荒れるので、肌が弱い方は手袋を着用するのがおすすめです。)

2 殺菌スプレーを作る

  • 次亜塩素酸ナトリウムを希釈する
  • 次亜塩素酸ナトリウム溶液を霧吹きに移す
  • 次亜塩素酸ナトリウム溶液の完成

続けて次亜塩素酸ナトリウムの殺菌スプレーを準備していきます。無菌播種の際コンタミを防ぐのに必須のアイテムです。

今回殺菌スプレーには「チュチュベビー つけるだけ」を使用しましたが、そのままでは次亜塩素酸ナトリウム溶液濃度が1%と濃すぎるため、0.05%になるよう20倍に薄めていきます。

今回は250ml作るので、溶液12.5ccに対し水235ccを加えました。

完成した液体を霧吹きに移せば、次亜塩素酸ナトリウムの殺菌スプレーの完成です。

3 使用する道具を殺菌する

無菌播種の前の消毒

作った次亜塩素酸ナトリウムスプレーで使用する道具を再度殺菌していきます。

これを怠ると確実にコンタミしてしまうので、面倒くさがらずに行ってくださいね。

4 培地を作る

計量カップに培地の元を入れていきます。

ハイポネックス微粉、砂糖(ショ糖)、かんてんを規定量入れ、沸騰したお湯を加えてかき混ぜます。

ハイポネックス微分は溶け残りやすいので、混ざりきらないようならラップをかけ電子レンジで再加熱し、スプーンなどでよくかき混ぜて下さい。

(鍋などで火にかけながら作っても構いません)

5 密閉ビンに培地を入れる

エアプランツの無菌播種の培地を瓶に移す

作った培地が固まらないうちに、ビンに厚み1〜2cmの量を流し込みます。

続けて念のため次亜塩素酸ナトリウムスプレーでビンの中とフタを殺菌し、フタをしっかりと閉めます。

6 培地が固まるまで待つ

培地が固まるまで待つ

培地が固まるまで30分ほど待ちます。

冷蔵庫に入れると培地をより早く固める事ができます。ビンを傾けても動かない程度になっていれば培地の出来上がりです。

7 種子を殺菌する

チランジアの種を消毒する

培地が固まるのを待つ間に、種子を次亜塩素酸ナトリウムスプレーで殺菌しておきます。スプレーして10分ほど放置すれば十分です。

8 種子を殺菌し培地に並べる

  • チランジアの種を培地に入れる
  • ティランジアの種を培地に広げる

殺菌したピンセットを使用し、固まった培地の上に種子を並べていきます。この時だまにならないようなるべく広げて配置してあげましょう。

指は雑菌だらけな上に、種子をうまく掴めないのでピンセットを使用するようにして下さい。

9 再度殺菌しフタを素早く閉める

  • 蓋を消毒
  • 培地後とビンを消毒
  • ティランジアの無菌播種の培地に蓋を閉める

種を並べ終わったら、培地ごとビンとフタに次亜塩素酸ナトリウムスプレーを吹きかけしっかりとフタを閉めます。

このタイミングでの菌の混入が一番怖いので、出来る限り素早く行いましょう。

10 ラベリングして完成

  • 無菌播種した瓶にラベリングする

交配親と播種した日付をラベリングします。

便を再利用する場合は紙などを貼り付けてそこに書いてもいいでしょう。ちなみに今回は、カーリースリム×ストレプトフィラの種子を使用しました。

これで無菌播種は完了です。お疲れ様でした!

播種後のビンの管理方法

明るい環境で保管

水やりなどの世話が必要ないので、基本的に何もしなくて大丈夫なのですが、置き場所には注意が必要です。温度は最低15℃から高くても30℃以内で、レースカーテン越しの優しい光が当たる明るい環境で管理してあげて下さい。

夏の日射はかなり熱を持つので、出来れば育成ライトを導入しましょう。

ビンを横に倒す

ただし、播種直後にビンを傾けると培地が容器から剥がれる恐れがあるので、1日程度空けてからにしましょう。ビンを倒す際は種子が中の液体で流されないように注意して下さい。

※育成が完了し、苗を取り出すまでは絶対にビンのフタは開けないでください。

今回はビンを使用しましたが、ジップスタンドパックを使用する方法もあります。

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コスパが良く、使い捨てできるのでおすすめです。

苗を取り出すタイミングについて

半年〜1年の期間を目安に開封し苗を取り出し、外気環境に慣らす必要があります。外環境に慣らすことを『順化』と言います。

途中でカビが発生したり苗が白くなったり枯れが生じ始めたりしたら早めに取り出す必要があるので、すぐに異変に気付けるよう定期的に苗の様子を観察するようにしましょう。

順化のやり方はまた別の記事で。

シードポットから種を収穫するタイミング

  • チランジアの種が入ったシードポット
  • エアープランツのシードポットを破る
  • シードポットから種を取り出す
  • シードポットから種を引っ張り出す
  • ティランジアの種

種が入った【シードポット】が出てきてもすぐには播種できません。

種は【シードポッド】の中で1年〜1年半ほどかけてゆっくり成熟していき、自然と弾けます。(この期間は品種や環境により異なります。)

自然に弾けたティランジアのシードポット
自然に弾けたシードポット

基本的には弾けたシードポットの種を使えば間違いないですが、風で飛ばされる心配がある場合は、手でシードポットを割って種を取り出して使う事ができます。もちろんシードポット内の種が成熟している必要があります。

成熟しているかどうかの見極めは「シードポットの色と表面のしわ」です。シードポットが成熟すると、緑色→茶色に変色しシワが入ったり縦方向に割れ目が出たりします。

  • 弾ける直前のシードポット
  • チランジアのシードポッド

また、同じ株から同時期に出たシードポットが弾けていれば、他のシードポットもほぼ成熟していると言えると思います。

※熟す前の緑のシードポットの種で無菌播種をしている方もいるようですが、試す方は自己責任で。

ティランジアの種の保管について

チランジアの種の保管方法

種子は常温では乾燥していれば半年ほど保管できます。また、ジップロックに乾燥剤と一緒に入れて冷蔵庫に保管すれば1年ほどは使えます。

管理が悪かったり、保管期間が長くなったりすると発芽率は下がっていきますので、できれば早めに播種してあげましょう。

ティランジアの種の作り方

▼受粉・交配のやり方はこちらの記事にまとめました

終わりに

いかがでしたでしょうか?一見難しそうに感じるかもしれませんが、アイテムさえ揃えてしまえば無菌播種は小一時間でできちゃうんです。

皆さんもぜひティランジアの無菌播種に挑戦してみてくださいね。

それでは今回はこの辺で。

▼エアプランツの基本的な育て方はこちら

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