こんにちは、チラグラファー・愛好家の【wanchan(わんちゃん)】です。
エアプランツ/エアープランツ(チランジア/ティランジア)は、その一生に1度だけ可愛いお花を咲かせます。でもなかなか咲かなくてもどかしいなんて方も沢山いますよね。
この記事ではエアプランツのお花の基礎知識や咲く時期、上手に咲かせる方法などを紹介していきます。
開花は一世一代のビッグイベント
エアプランツの楽しみの一つに『開花』があります。上手に育てると、全ての品種で綺麗なお花を見る事ができますよ。
開花姿には、イオナンタのように株からそのまま花が出るタイプと、キセログラフィカのように花序を伸ばして花をつけるタイプの2つが存在します。
エアプランツ命のサイクル
エアプランツは他の植物同様、子孫を残すためにお花を咲かせます。開花後は子株を出したり種を作ったりして増えていきます。
開花の時期
エアプランツがお花を付けるのは、株が成熟しきったタイミング、ただ1度きりです。
『毎シーズン咲く』と言った言葉を目にする事がありますが、これは子株が短期間で成長して開花する場合になります。ストリクタやイオナンタなどサイクルの早い品種で見られます。
● 開花すると成長はストップする
エアプランツは開花すると成長を止め、残りの体力を全て種や子株に注ぎます。
開花時に受粉していれば、種を作り余った体力で子株を付けます。
受粉していなければ、体力は全て子株に注がれます。そのため、子株の数を増やしたい方は受粉させないようにしましょう。
更に言うと、親株は開花にも多くの体力を使ってしまいます。花序が伸びるタイプのティランジアの場合は伸びてきた花序を早い段階で切り落とす事で、開花に要するエネルギーも温存して子株に回す事もできます。「お花を見なくて良いよ」と言う方はお試しください。
私はお花を見たい人なのでここまではしませんが…
花の基本構造
こちらは花序を伸ばすタイプのティランジアの花の基本構造です。
花が終わってから、見た目を気にされる方は花序ごと切り落として構いません。ちなみに私は付けっぱなしが多いです。
▼花の切り方はこちらの記事で詳しく解説
開花の兆候
株が紅葉する
イオナンタ系やブラキカウロスなど一部の品種は開花期に入ると全体が赤く染まり、株自体がお花になったかのような美しい姿に変容します。
これは花粉を運んでくれる昆虫を誘引するためだとも言われています。
花序が出てくる
開花期に入ると、株の中心から花序が伸びてくるエアプランツも多く存在します。
これは徒長ではないのでご安心を。
※花序(かじょ)は花芽(はなめ)と呼ばれる事もあります。
花序が伸びる品種は開花期の紅葉はほとんど見られません。
花が咲かない原因
長年育てているのになかなか咲いてくれないって子いますよね。実はエアプランツは株が健康に育っていないとなかなか開花してくれないんです。
不調の原因は日当たりや風、温度、湿度など様々な要因が考えられますが、特に陥りやすいのは以下になります。
光が不足している
極端に日当たりが悪いと株が成長せず花がなかなか咲きません。また花が咲いたとしても、栄養が足りず貧相になってしまいます。
※長寿の品種などは開花自体しずらい場合があります。
花芽折れ
花序を長く伸ばす品種でよく起こる事故がこれ。チランジアの花序は柔らかく移動の際や強風で何かに引っ掛かると簡単に折れてしまいます。
花序が折れてしまったら、残念なからその株から開花を見ることは出来ません。子株に期待しましょう。
蕾のまま枯れる開花失敗の原因
花序を出すタイプのエアプランツは、蕾のまま咲かない事があります。これを花が不発になると言ったりもします。先っちょに花弁が見えているのがもどかしい…
※花序が出てから開花までに3ヶ月以上待たされる場合もあります。画像のように茶色く枯れてしまっていなければ不発ではないので、管理を変えずに気長に待ちましょう。
主な原因は以下になります。
環境の急激な変化
温度や湿度、明るさなどの生育環境が急に変わると、順応するまで成長が止まる事があります。
購入後すぐに花芽が出た株や、既に蕾が付いている場合、不発になる事が多いのはこのためです。花芽がある株を買うときは不発のリスクを覚悟をしておきましょう。
また、育てている株に花芽が出てきたら室内外の移動などはなるべく避け、開花するまでは同じ環境で管理を行うようにしましょう。
※海外から輸入されてきた株は輸送のダメージや、日本の気候に順応するまで時間がかかるため、入荷後数ヶ月は不発になる確率が高くなります。
害虫による被害
エアプランツは、ハダニやカイガラムシなどにより体液を吸われ弱ってしまうと花が不発になる事があります。
株の調子が悪い時は表面に虫がいないか注意深く観察してみてください。
▼駆除方法はこちら
直射日光によるダメージ
夏場の直射日光などで蕾が熱されダメージを受けると、上手く咲かなかったり蕾のまま枯れてしまったりする事があります。夏場はしっかり遮光してあげましょう。
お花をたくさん付けるコツ
お花がたくさん付くかは、株のサイズや健康状態に大きく左右されます。
株が小さなうちに咲いてしまったらお花も少なく貧相になってしまいます。そのためたくさんお花を付けてもらうには、大きく健康に育てる必要があります。
ちなみに綺麗なお花を見られる期間は1つあたり3〜4日程度です。そのため、蕾が沢山が付くと時間差で咲いていき、1ヶ月以上開花を楽しむことができます。
※ 品種によって花付きの良さは異なります
環境を整える
暑すぎる、寒すぎるなどストレスを与えると、株が小さいうちに咲いてしまいます。なるべく15〜28℃以内になるように管理し、室内なら育成ライトなどで補光してあげましょう。
※日本は原産地の中南米よりも寒暖差が激しいため、大型化させずらい環境だと言われています。
何かに着生させる
エアプランツにとって【着生できる環境】=【安心して生育できる環境】なので、着生させたほうが生育が良いと言う説があります(逆に着生できないと早く子孫を残すために早熟になってしまうため)。これは全品種で絶対にとは言い切れませんが、個人的には可能性が高いと感じています。
適度に肥料を与える
肥料や活力剤を適度に与える事で株を大きく育出ることが出来ます。
また暖かい季節は雨に当てるのも効果的です。
ただし、日当たりが悪い環境でハイポネックスなどP(リン酸)が多い肥料を与えすぎると、大きくなる前に開花しやすくなってしまう可能性があります。
適度に光を制限する
極端に光が足りないと株はなかなか成長してくれませんが、夏の直射など光が強すぎるとストレスで開花が早まる場合があります。
光量を適度に制限する事で開花を遅らせより大きく育てる管理方法があり、これは大型のイオナンタなどを大きく育てるときによく用いられる方法です。
※全ての品種で当てはまるわけではありません
チランジアの花の種類
エアプランツは筒状花が多いイメージですが、実は可愛らしい三弁花の品種もたくさんあります。
- 筒状花
- 三弁花
花色は多種多様
紫色の花を付ける品種が多いチランジアですが、他にもさまざまな色の花があります。
色別にまとめてみましたので、好きな花色の品種を探してみてくださいね。
●基本種の花色
- 紫花
イオナンタ、ブルボーサ、キセログラフィカ、ストレプトフィラ、ドゥラティなど
普及種の多くは紫色の花を咲かせます。
- 赤花(ピンク花)
フンキアナ、フックシー、アンドレナ、コンコロール(ピンク花)、ドロセアエ(ピンク花)など
ブラジル原産で赤花を咲かせる以下品種群を『ブラジル赤花』と呼びます。
スプリンゲリアナ、カウツキー、ヘウベルゲリ、スークレイ(ピンク花)、ロゼイフローラ、レクリナータ、ブラキフィラ、チャネウエンシス・チュリフォルミス(ピンク花)など
- 緑花
ウスネオイデス、ロッテアエなど
メキシコ原産で緑花を咲かせる以下品種群を『メキシコ緑花』と呼びます。
モーリアナ、トルティリス、アトロヴィリディペタラ、ペナスコエンシスなど
- 黄花(オレンジ花・クリーム花)
ロリアセア、イキシオイデス、ブリオイデス、ミオスラ、カクティコラ(クリーム花)、クロカータ、ディスティカ、エリヒ(オレンジ花)など
- 白花
クシフィオイデス、アラウジェイ、アレキタエ、カウレッセンス、ココエンシス、ディディスティカなど
●色素変異で生まれた花色違いの品種
基本種から色が抜けた個体を選抜した園芸品種(cv.)や変種(var.)、フォルマ(forma/f.)も多く存在します。
これらの品種は名前に【アルビフローラ、アルビノ、アルバ、ホワイトフラワー】など色の名前が付く場合が多いです。
- 白花の変異種
【園芸品種】マレモンティー・アルバ、イオナンタ・アルビノ、イオナンタ・ドゥルイドなど
【変種】アエラントス・アルバなど
【フォルマ】ブルボーサ・アルバなど
こちらは私が生育しているキセログラフィカの白花変異個体の写真です。
- 黄花の変異種
【園芸品種】フンキアナ・ドミンゴズフンキアナなど
【変種】クシフィオイデス・ルテアなど
花色違いの品種は希少なため高額で取引される傾向にあります。
最後に
エアプランツのを開花させることができたら、子株や交配と、楽しみ方が広がります。
皆さんもエアプランツを上手に育てて、エアプランツの世界をよりディープに楽しんでみてくださいね。
▼基本的な育て方はこちら
▼分からない言葉はありませんでしたか?
ティランジアの専門用語、全部まとめました。
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