【ティランジア】亜属の種類と交配相性まとめ【2024年版】

イオナンタの花

こんにちは、チラグラファー愛好家の【wanchan(わんちゃん)】です。

この記事では意外と知られていない、ティランジア(チランジア/エアプランツ・エアープランツ)の亜属の分類と、交配の相性について解説していきます。

生き物の分類には共通して「界・門・綱・目・科・属・亜属・種」が存在します。

例えば、ティランジア イオナンタならこんな感じ。

  • 植物[界]
  • 被子植物[門]
  • 単子葉植物[綱]
  • イネ[目]
  • パイナップル(ブロメリア/アナナス)[科]
  • ティランジア(ハナアナナス)[属]
  • ティランジア[亜属]
  • イオナンタ[種]

こう見るとややこしく感じますが、ティランジアやエアープランツと呼ばれるのは、【ティランジア属】の植物という事になります。

ティランジアの亜属は7つ

ティランジア属は【亜属】といわれる7つのグループに分けられ、その中にそれぞれの品種が存在しています。

①ティランジア亜属 Tillandsia
②アノプロフィツム亜属 Anoplophytum
③フィタルリザ(フィタリザ)亜属 Phytarriza
④ディアフォランテマ亜属 Diaphoranthema
⑤プセウドフリーセア(シュードフリーセア)亜属 Pseudovriesea
⑥アエロビア亜属 Aerobia (近年アノプロフィツム亜属から分離)
⑦ヴィリダンサ(ビリダンサ)亜属 Viridantha (以前存在したアラルディア亜属から分離)

2016年以降、遺伝子解析により大幅な再分類が行われました。今後も種の分類変更や、亜属の新設が行われる可能性があります。

※以前存在したアラルディア亜属は他亜属と併合されて今は無くなっています。

※プセウドアルカンタレアPseudalcantarea は2016年に属に引き上げられました

これらの亜属には、それぞれに外見的・性質的特性があります。

スポンサーリンク

交配は基本的に同亜属で行う

チランジアを受粉させ交配させる

ティランジアの交配は、基本的には遺伝子的に近しい亜属内で行われます。

花が咲いたからといって、受粉させたら何でも交配できるわけではないんです。

スポンサーリンク

亜属間交配には相性がある

チランジアイオナンタの花

亜属内での交配が基本のティランジアですが、例外的に亜属間交配が成功しやすい組み合わせも存在します。

以下は亜属間の交配が多い、もしくは行いやすいとされる組み合わせとなります。

  • フィタルリザ亜属×アノプロフィツム亜属
  • アラルディア亜属×アノプロフィツム亜属
  • アラルディア亜属(旧)×ヴィリダンサ亜属
  • アノプロフィツム亜属×アエロビア亜属
  • ディアフォランテマ亜属×フィタルリザ亜属

それ以外の亜属でも交配前例はあるものの、成功率は低いとされており、ディアフォランテマ亜属・プセウドフリーセア亜属・ティランジア亜属の亜属間はほとんど期待でないと言われています。

ただ、他亜属との交配が非常に難しいとされる、ティランジア亜属にも亜属間交配の成功例はいくつかあります。

※成功例:フィリフォリア(ティランジア亜属)×スプリンゲリアナ(アノプロフィツム亜属)

※成功例:クシフィオイデス(アノプロフィツム亜属)×カプトメデューサエ(ティランジア亜属)

アノプロフィツム亜属については比較的どの亜属とも交配がしやすいようです。

亜属間交配の相関図

こちらは【日本ブロメリア協会会報 54号】に掲載された、交配相性と交配例の数です。

【以下 日本ブロメリア協会会報 54号(12〜13P)より引用

“ 

亜属名アエロアラルアノプロディアフォフィタルアルカンタフリーセアティランジアヴィリ
アエロビア
(11)
×
(1)

(19)
×
(0)

(2)

(交配例不足)
(0)

(交配例不足)
(0)
×
(2)
×
(0)
アラルディア×
(1)

(交配例不足)
(8)

(10)
×
(0)
×
(1)

(交配例不足)
(0)

(交配例不足)
(1)

(21)

(2)
アノプロフィツム
(19)

(10)

(82)
×
(0)

(14)

(交配例不足)
(0)

(交配例不足)
(0)
×
(5)
×
(0)
ディアフォランテマ×
(0)
×
(0)
×
(0)

(3)

(9)

(交配例不足)
(0)

(交配例不足)
(0)
×

(2)
×
(0)
フィタルリザ
(2)
×
(1)

(14)

(9)

(34)

(交配例不足)
(0)

(交配例不足)
(0)
×
(0)

(2)
プセウドアルカンタレア
(交配例不足)
(0)

(交配例不足)
(0)

(交配例不足)
(0)

(交配例不足)
(0)

(交配例不足)
(0)

(交配例不足)
(0)

(交配例不足)
(0)

(交配例不足)
(0)

(交配例不足)
(0)
プセウドフリーセア
(交配例不足)
(0)

(交配例不足)
(1)

(交配例不足)
(0)

(交配例不足)
(0)

(交配例不足)
(0)

(交配例不足)
(0)

(交配例不足)
(0)

(交配例不足)
(0)

(交配例不足)
(0)
ティランジア×
(2)

(21)
×
(5)
×
(2)
×
(0)

(交配例不足)
(0)

(交配例不足)
(0)

(516)
×
(0)
ヴィリダンサ×
(0)

(2)
×
(0)
×
(0)

(2)

(交配例不足)
(0)

(交配例不足)
(0)
×
(0)

(2)

” 引用ここまで(日本ブロメリア協会様より許可を得て引用させていただいております)

※PCもしくは、スマホ横向き表示じゃないと見られません。横軸の亜属名は一部省略しています。

(ティランジア属から分離する前のプセウドアルカンタレア亜属、併合して無くなってしまったアラルディア亜属も含まれています。)

この相関図は、2019年時点インターネット上で情報公開されていた原種同士の亜属間交配の統計から、各亜属の総数に対しての相対的な相性を表したものになります。

「日本ブロメリア協会」の会員はこの号の会報を含め、バックナンバーの購入ができるので興味のある方は入会をお勧めします。(ちなみに私も会員です)

スポンサーリンク

各亜属の紹介

ティランジア亜属

開花したイオナンタ
イオナンタ

ティランジアの中で最もメジャーな亜属。

キセログラフィカやイオナンタ、ストレプトフィラ、ハリシー、ブルボーサ、ブラキカウロスなどオールスターが揃っており、この亜属なしにはティランジアは語れません。

姿形もさまざまで、全ての亜属の中で最も種類が多いグループです。

9割以上の品種の花が紫の筒状花になります。

※例外としてフンキアナやアンドレアナなど先端が開く赤の3弁花の品種もある。

自生地は主に、アメリカ南部からメキシコ、南米北部、ペールー北部と広範囲に渡ります。

ティランジア亜属は他亜属とはほぼ交配できないグループと言われていますが、アラルディア亜属との交配例は意外と多くあります。

② アノプロフィツム亜属

アエラントス・ニグラの開花
アエラントス・ニグラ

ティランジア亜属に次いで品種数の多い亜属になります。

メジャー所は、ストリクタ、アエラントス、テヌイフォリア、カウツキー、スプリンゲリアナ、ヘウベルゲリ、ガルドネリー、スークレイ、イキシオイデス、トロピエンシスなど、ツンツンした見た目であまり大きくならない品種が多い印象。

屈曲しやすい品種が多く、下向きに仕立てて育てると美しいカーブを描きながら成長するのが魅力の一つです。

非常に綺麗な3弁花を咲かせます。花序が楕円状に出て先端に花弁が付きます。

【ブラジル赤花】と言われるティランジアが属しているグループでもあります。

(ブラジル赤花例:スプリンゲリアナ、カウツキー、ヘウベルゲリ、スークレイ(ピンク花)、ロゼイフローラ、レクリナータ、ブラキフィラ ex)

自生地は南米中部(ブラジル南東部、ボリビア、パラグアイ、アルゼンチン北部)になります。

暑さ、寒さに強い健強な品種が多いです。

亜属間交配の相性は近縁のアエロビア亜属が非常に良く、フィタルリザ亜属との親和性も高いと言われています。また、アラルディア亜属との親和性もあるようです。

③ フィタルリザ亜属

ティランジアドゥラティ開花
ドゥラティ

有名所はドゥラティ、ストラミネア、カクティコラ、パレアセア、バンデンシス、クロカータ、マレモンティー、プルプレア、カエルレアなど、棒状の有茎のティランジアが多いように感じます。

バナナの皮を剥いたような見た目が可愛らしいですよね。

※キアネアは元々この亜属のティランジアでしたが、今はティランジア属とは別属のワリシア属に再分類されています。

花は3弁花で芳香があるのが特徴で、平べったい花序になります。花序が長い品種が多いです。

自生地は中米から南米(エクアドル、ペール、ボリビア、アルゼンチン、ブラジル南部、ウルグアイ、パラグアイ)と広範囲に及びます。

亜属間交配についてはディアフォランテマ亜属・アノプロフィツム亜属との親和性が高いとされています。

栽培が容易な種の多い亜属です。

④ ディアフォランテマ亜属

ティランジアウスネオイデス
ウスネオイデス

マニアには人気の高い亜属で、小型種の多いグループです。

品種例はウスネオイデス、ロリアセア、カピラリス、トリコレピス、カリギノーサ、フネブリスなど。

分布はアメリカ南部からアルゼンチンまでと非常に広いです。

花は小さく、半分以上の種で芳香があります。また、夜にだけ香る種が多い不思議な亜属になります。

非常に自家受粉しやすく、ウスネオイデスなどは勝手に種ができます。

⑤ プセウドフリーセア亜属

ティランジア・エスピノーサ
エスピノーサエ

元々はフリーセア属だった品種の一部がティランジア属に編入された際に、新しく出来た亜属になります。

所属品種は少なめ。エスピノーサエやヒッチコッキアナなどマイナー品種がほとんどです。

⑥ アエロビア亜属

クシフィオイデス ドワーフフォーム

近年アノプロフィツム亜属から派生・分離され、新しく作られた亜属です。

所属品種はクシフィオイデス、 ディアギテンシス、ロッテアエ、ヴェルニコーサ、カウレッセンス、アルゼンチナなど。

近縁のアノプロフィツム亜属と見分けがつきにくいですが、大きな違いは花序にあります。アノプロフィツム亜属が独立した楕円形の花序の先端に3弁花をつけるのに対して、アエロビア亜属は平べったい花序から同じく3弁花を咲かせます。

また、アエロビア亜属の方が蕾が出てから開花するまでに時間がかかる傾向があります。

自生地はボリビア、パラグアイ、アルゼンチン、ペルー周辺になります。

非常に強健で、乾燥・寒さ・暑さにも強い亜属ですので育てやすいかと思います。

アノプロフィツム亜属同様、成長点を下向きにすると美しく屈曲する品種が多いのが特徴です。

亜属間交配については、近縁のアノプロフィツム亜属とはもちろん相性が良く、フィタルリザ亜属とも交配例があります。 

ヴィリダンサ亜属

ティランジア・テクトラム
テクトラム

以前存在したアラルディア亜属から派生・分離され、新しく作られた亜属です。

ヴィリダンサ亜属はもふもふのトリコームがある種が多いです。※一部例外あり

品種数は少なめで、テクトラムが最も有名。他にはモーリアナ、トルティリス、アトロヴィリディペタラ、レピドセパラ、シュスゴネンシス、ヘテロモルファなどのマイナー品種が属しています。

自生地は2箇所に分断されており、ペルー・エクアドルの山岳地帯とメキシコの山岳地帯になります。

メキシコ原産のものは緑の花を咲かせ、ペルー/エクアドル原産のものは白と青を基調とした花を咲かせます。

この亜属名は【メキシコ緑花】と呼ばれるグループを主体として付けられています。

Viridanthaは『緑花』の意。(viride ウィリデ=緑色  + anthe アンタ[アンサ]=花 )

チランジア・トルティリスの花
ティランジア・トルティリスの花

蒸れや暗い環境に弱い反面、乾燥や強光に強い種が多いです。

このグループは水やりは控えめで長時間(6時間以上)のソーキングはNG。暑い時期のソーキングは枯れのリスクがあります。通常の水やりはソーキングではなくディッピングに留めましょう。

亜属間交配はかなり難しいようですが交配例もあります。

テクトラム(ヴィリダンサ亜属)×ドゥラティ(フィタルリザ亜属)などは稀に流通しているようです。

※ アラルディア亜属

エディシアエ
エディシアエ

今はほとんどがティランジア亜属に再分類され、無くなってしまった亜属になります。エディシアエ、カウリゲラ、ラティフォリア、ファラゼンシスなどが所属していました。

カサカサとした乾いた質感が特徴で、葉っぱにハリ感がなく野趣溢れるワイルドな品種が多い印象です。

自生地は南米中北部(ボリビア、ブラジル北部、ペルー、エクアドル)から中米と広め。

栽培に関しては明るい環境を好み乾燥に強い反面、湿っぽい環境は苦手です。

終わりに

奥深いティランジアの世界。まだまだ勉強することだらけです。

育成やオリジナルの交配種作りの際は、ぜひ参考にしてくださいね。

※参考資料:日本ブロメリア協会会報・Nature Garden様 Youtubeチャンネル・ティランジア エアプランツ栽培図鑑

▼交配のやり方はこちら

▼無菌播種のやり方はこちら

▼無菌播種後の順化のやり方はこちら

▼ティランジアの疑問を解決

▼お花について詳しくはこちら

▼育て方についてはこちら

▼育成カレンダーご活用ください

エアープランツの年間育成カレンダー

▼分からない言葉はありませんでしたか?

コメント

コメントを残す