こんにちは、チラグラファー・愛好家の【wanchan(わんちゃん)】です。
植物の世界には突然変異によって生まれてくる奇形の個体が存在します。
その中でもティランジア(チランジア/エアプランツ)の変異個体は以下の2種に分けられます。
- クレステッド(クレスタータ/クリスタータ):Crested
- モンストローサ(モンストローズ):Monstruosa/Monstrose
「クレステッド株」と一括りにされがちな変異種ですが、実はこの2つには明確な違いがあるんです。
それでは、それぞれの特徴を見てみましょう。
クレステッド(クレスタータ):綴化/帯化
「成長点が帯状に連なったもの」
こちらはイオナンタのクレステッド個体の写真です。このように成長点が帯状に綴(つづ)れて現れるのをクレステッドやクレスタータと言います。成長点が横方向に連なり、扇形に成長していますね。
※cris(クリス)とは鶏のトサカを意味しています。なるほど!
こちらは、【ティランジア・カプトメドゥーサエ】のクレステッド株です。同じく扇状に展開しています。
こちらは、【ティランジア・キセログラフィカ×カピタータ】のクレステッド株です。この品種は非常に素晴らしい草姿が見られます。
クレステッド株は、原種とはまた違った異形の美しさがありますよね。
ティランジアのクレステッドはさまざまな品種で見られますので探してみると面白いですよ。
モンストローサ(モンストローズ):石化(いしか・せっか)
「生長点が乱れてカタチが崩れたもの」
こちらは【ティランジア・イオナンタ】のモンストローサ個体の写真です。
このように成長点がいたる所に出て、形状自体が原種からかけ離れて変化してしまうのをモンストローサと言います。もはやイオナンタの面影はありませんね。サボテンの世界では獅子化(ししか)と呼ばれたりもします。
イオナンタの石化個体は【Tillandsia ionantha ‘Monstrose’(モンストローズ)】で英語表記となっていますが、ラテン語のMonstruosa(モンストローサ)で呼ばれることが多い印象です。どちらも同じ意味です。
※monstruosa(モンストローサ)はラテン語で”怪物のような”という意味があります。まさにモンスター!
ティランジアのモンスト個体は、イオナンタ以外はほぼ流通しません。海外の趣味家の方が【カピタータ イエロー×ノバキー】のモンスト個体の写真を SNSに上げているのを見かけた事がありますが、他は見た事がありません。
先祖帰りする事も
クレステッドやモンスト株からは、写真上部のように通常の子株が出る事があります。またこれらの変異個体を交配して種を作っても、受け継がれない事が多いので、クローン(子株)から増やします。
矮小化しやすい
クレステッドやモンスト株は、基本種よりも小さくなりやすい性質があります。正常な成長ができていないで当たり前かもしれませんね。
こちらは【ティランジア・アメイジンググレイス(ブルボーサ×ロゼオスカパ)】のクレステッド個体の写真です。本来は大型種ですが、数年育てても、ほとんどサイズに変化はありません。
クレステッド&トリコームレスのW変異個体
こちらは、ティランジア・リオホンドエンシスのクレステッド個体です。さらにトリコームレスと呼ばれる変異も見られる非常に珍しい状態です。
変異個体は高級品
増えない上に株分けしにくい
変異個体は希少で、出回っている数自体が少ないので、高値になる傾向があります。
その理由としては、成長の遅さがあります。特にモンスト株は成長が非常に遅く、なかなか増やす事ができません。
また、基部がくっついていることが多いため株分けも困難なんです。
こちらは【キセログラフィカ×カピタータ クレステッド】の株分けの様子。芯ごとぱっかーんしたので、ダメージが大きそうですが、何とかどちらも枯れずに済みました。
ちなみにこの株はほぼ成熟していますが、1年に1株のペースでしか増やす事ができていません。
生産者からしたら種から増やせない上に子株で増やすのも時間がかかるため、値段も上がってしまうのでしょう。
終わりに
いかがでしたでしょうか?
ちょとお高い変異株ですが、原種とはまた一味違った魅力があるので、機会があればぜひ手に取ってみてくださいね。
それではこの辺で。
▼キセログラフィカ×カピタータ クレステッドについて詳しくはこちら
▼まだまだありますティランジアの突然変異
▼エアプランツの基本的な育て方はこちら
▼育成カレンダーご活用ください
▼分からない言葉はありませんでしたか?
ティランジアの専門用語、全部まとめました。
コメント