
こんにちは、チラグラファー・愛好家の【wanchan(わんちゃん)】です。
この記事では、海外の旅行先から日本国内に植物を持って帰る手順をご紹介したいと思います。
検疫証明やら何やらと敷居が高そうに感じますが、やり方さえ知っていれば誰でも植物を日本に持って帰る事ができるんです。
それではまずは基礎知識から。
検疫なしで植物を持ち込むのは法律違反
まず外国から日本へは勝手に植物を持ち込んではいけません。これは生態系保護の観点から日本の法律により禁止されています。
植物には病気や昆虫がついている可能性があるので検査を行う必要があるのです。持ち込む場合、現地での検査をパスし書類を取得し、入国時に空港の植物検疫カウンターで検疫を受ける必要があります。
また、そもそも絶滅危惧種など輸入自体してはいけない植物も多数存在するので、それに該当していないかを事前に調べておく必要もあります。
植物防疫所のサイトをしっかり読んでおきましょう。
植物防疫所リーフレットがわかりやすいのでこちらもお勧めします。
植物を日本に持って帰る手順
今回は実際に私が米国(ハワイ)からティランジア・トリコロール(Tillandsia tricolor)の斑入り栽培品種「ハワイアン・クラシック」を持って帰った時の体験を、そのまま記事にしています。基本的な流れは同じですが、輸出国によって規制や検疫証明書を発行するのにかかる費用が微妙に異なる場合もあります。不明点は必ず輸入先の業者や植物防疫所に確認するようにしてください。
欲しい植物が輸入可能かどうか調べる

出国前に購入したい植物が国内に持ち込み可能かどうかこちらのサイトで調べておきましょう。(輸入元国や輸入植物を指定して輸入条件を検索することができるデータベースです。)
※学名の異名(シノニム)や栽培品種名を持つ植物は、正しい結果が表示されません。ヒットしない場合は正式な学名を入力するようにしましょう。
「現地で欲しい植物を見つけた」という場合にも同様に上記のサイトでまずは検索を行いましょう。
今回入手予定の「ティランジア・ハワイアン・クラシック」は栽培品種名なので、正式な学名である、「ティランジア・トリコロール」で検索しました。

「通常の検査で持ち込みできるもの」に出てくればOKです。
ワシントン条約(CITES)の附属書に記載されている絶滅の恐れのある植物は、個人では基本的に輸入する事はできないので注意が必要です。
ちなみにティランジアでは「キセログラフィカ」や「ハリシー」など7種がワシントン条約の規制対象になっています。一般流通している品種なので驚きですが、野生環境下では数を減らしています。これらは現地の農家で栽培された株特別な許可をもらった上で日本に入ってきています。
現地で植物を購入する

現地で植物を購入したら、日本に持ち帰りたい旨を伝えます。慣れてるお店なら抜き苗にして根を切り土を落としてくれるでしょう。対応してくればい場合は自分で行う必要があります。
この時品種名と金額が書かれたレシートを必ずもらってください。日本入国時の検疫の際に、現物と検疫証明書を照会する際に使用します。
ホテルで植物を綺麗に洗う
検疫を通すためには、先述したように病気や虫類の混入を防ぐために根を全て切り落とし、土も一粒残らずきれいに落としておく必要があります。
お店で対応してもらっている場合でも、念の為ホテルに戻ったら、水洗いして土が葉の間などに入ってないかを入念に確認しましょう。
(ほとんど汚れは付いていませんでしたが念の為ホテルの許可を取って使用しました。)
検疫所に行き検疫証明書を取得する

購入した植物を持って現地の検疫所に行き、必要書類を記載して検査証明書(Phytosanitary Certificate)を取得します。2枚目はコピー、3枚目はレシートです。
現地の検疫所の場所は予め確認しておきましょう。ハワイの場合、空港の隅に検疫所が併設されています。
検疫証明書の発行には名前・日本の住所・電話番号・滞在先の住所・購入する品種・購入場所などの情報が必要になってきます。※国によって微妙に異なる場合があります
ハワイでは検疫証明書は基本的に即日発行されますが、出国の前日までに取得しておくと安心です。費用は何株あっても61ドルです。
私の場合欲しい品種が明確に決まっていたので、渡航前に現地の農家の方に検疫費用と手数料を支払って予め準備してもらいました。
(輸出に慣れている農家さんならお金さえ払えばやってくれますが、街中の植物屋さんなどはそこまではしてくれません。)
スーツケースに植物を詰めて出国

預け入れ荷物に植物をパッキングしていざ帰国。ハワイ出国時に空港でする事は特にありませんでした。
ティランジアの場合蒸れの心配もあるのでしっかり水気を切っておきました。
飛行機で関税申告書を記載
多くの航空会社では機内で関税申告の用紙が配られますので、フライト中に記載しておくとスムーズです。
表面には住所・名前・生年月日・旅券番号を記載し、持ち込みに規制のある植物にチェックを入れます。裏面には正式な植物名・個数・金額を記載します。
配られなかった場合や受け取りそびれた場合は着後、空港の税関に同様の用紙があるのでそちらで記載しましょう。
(関税の申告はアプリでもできるようです。)
空港に着いたら植物検疫カウンターへ

入国審査を済ませ、預け入れ荷物を受け取ったら税関へ。動物・植物検疫カウンターがあるのでそこで植物と検疫証明書・パスポート・レシートを提出します。
植物名をデータベース上から検索し輸入可能かどうか確認したのち、白いトレーの上で植物をひっくり返して振られます。虫や土が落ちる場合その植物は没収・破棄されてしまいます。
今回は1株だけで明らかに綺麗にしていたからか、検査は短時間で終わりました。
この時検疫証明書がないと密輸入になり植物は没収されてしまいます。また悪質な場合罰金刑/懲役刑が課される場合がありますので、絶対に書類は無くさないようにしましょう。
ここの様子は撮影不可とのことなので看板だけ。
そのまま税関へ

植物検疫をパスして植物検査合格証印のシールを貼ってもらったら、そのまま税関へ行き植物検疫済みであることを伝えます。植物の輸入金額が高額になると関税がかかる場合があります。
これで無事輸入完了です。

いかがでしたでしょうか。
植物を日本に持ち帰るのは少し大変ですが、海外旅行でどうしても持って帰りたいという方は入念に下調べをしてからトライしてみてくださいね。
※この記事は米国(ハワイ)からのティランジア輸入の体験をベースにして作成しています。
※規制は輸出国により異なる場合があります。輸入の際は日本の植物防疫所のWEBサイトを入念に確認した上で、自己責任で行ってください。
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